出版社内容情報
明治の初め紀州田辺に出生した青雲の志にもえる男が、合気道を創始、血涙の修業、他流の挑戦者は次々と敗退した。無敵の境地に到達した男の波瀾の軌跡を描く長篇
内容説明
明治の初め、紀州田辺に一人の男が出生した。青雲のあつい志にもえて、試行錯誤のすえ、武道に活路を見出す。曲折した血涙の修行をつみ、合気道を創始した。以来、数々の他流の挑戦者をことごとく打ちやぶる―。無敗の境地に到達した男の、痛快波瀾の軌跡をいきいきと描いた武道一直線の大河長篇!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
AICHAN
41
再読。合気道の創始者・植芝盛平の一生を描いた物語。植芝盛平の逸話として語られていることのひとつに、敵が発砲した銃弾の軌跡が事前に見えたということがある。にわかには信じられないが、植芝盛平の高弟だった塩田剛三が実際にその場面を見ているので、信じざるを得ない。合気道は実に合理的な武道だが、植芝盛平の強さは単に合理的だということ以外に、人知を離れた超能力に近い素質があったからだと考える以外にないと思う。植芝盛平はまさに超人だったのだ。北海道に入植したとき愛人を作ったという人間的な話がホッとさせてくれる。2021/11/16
AICHAN
38
再読。合気道開祖の植芝盛平の一代記。高島隆之助(植芝盛平)は紀州田辺で生まれ、剣術と柔術に親しむ。軍隊に入って戦場に出たとき(日露戦争)、敵の撃つ弾の軌跡が事前に見えるという驚くべき体験をする。また剣術で相手の攻撃が前もって見えるようにもなる。その後、隆之助は北海道開拓に進む。そのとき出会ったのが、大東流合気柔術の内田兎角(武田惣角)だった。隆之助は兎角から合気技の伝授を受ける。これこそ本物の武術だと悟った隆之助は研鑽を積み合気道を創始する…。しかし武田惣角の直弟子の佐川幸義は「植芝盛平は→2024/09/21
AICHAN
36
再読。合気道創始者・植芝盛平の一生を描いた物語。植芝盛平の神がかり的強さだけでなく、人間的な部分も描いていて興味深い。学業も仕事も北海道開拓もすべて中途半端で投げ出し、中年近くになってから大本教に入って武術の奥義を極める。あまりにも勝手でちょっとついていけないなと感じる。植芝盛平のことを思うとゴッホを思い出す。ゴッホもまたいくつもの仕事を途中で投げ出し、かなり歳がいってから画家になったからだ。2023/09/19
不良牢人
20
合気道の祖、植芝盛平を書いた小説。どのような人物であったかは、私も武道をしていたので、僅かではあるが知っている。小説なので、かなりの誇張もあり自由に書かれているようだ。本格的に武道をやるのは30半ばだが、武道の非凡なる才能があったのだろう。凡人ではこうはいかない。だが北海道入植時までの足跡は、スジは通っているのだろうが、やりたい放題、あまりにも自分勝手な感じがするねえ。もう1つ私は、出口王仁三郎との関係にも興味があるんだが、親の死に目に間に合うかどうかの時に信仰心もないだろう。早く帰れって言いたい。2022/06/08
きんてつ
10
合気道を創始した高島隆之助の大河長篇。青春期に自分を探し模索する姿に同感…かな?2014/02/02