出版社内容情報
これまでの学校建築の系譜を辿るとともに、国内外の学校調査結果や秀作事例をもとに、学校建築を解説する。
内容説明
子どもたちが生活時間の多くを過ごす学校。孤立しがちな学校の閉塞性に新風を吹き込む手段はあるか?建築家たちが試みてきた学校建築の系譜を辿りながら、公立小・中学校における地域社会と学校と建築空間のあり方を探る。
目次
第1章 学校建築の系譜
第2章 教育改革と学校建築の改革
第3章 教室という単位空間―教室の天井高3mをめぐって
第4章 小学校の計画とデザイン
第5章 中学校の計画とデザイン
第6章 地域社会と学校―コミュニティースクールへの道
著者等紹介
上野淳[ウエノジュン]
1948年生まれ。首都大学東京大学院建築学専攻教授。首都大学東京基礎教育センター長。1977年東京都立大学大学院博士課程修了、工学博士。建築計画学、環境行動研究、学校、病院、高齢者施設などの地域公共施設計画を幅広く手がけ、計画指導・コンサルタントとしても活躍。1995年、「生活者に立脚した地域公共施設の建築計画に関する一連の研究」で日本建築学会賞(論文)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kenitirokikuti
7
図書館にて。2008年刊行。戦後日本の学校建築はRC造の片廊下一文字型校舎を標準とする。教室は4間×5間×10尺、戦後は8m×8m×3mの密閉式であった。小学校については、1984年に多目的スペース補助制度が始まった(「教室」ではなく、弾力的多目的な利用を前提とした「スペース」)。自分は小中高では片廊下一文字校舎だったが、大手の塾や大学、それに公立図書館などでは新しいスタイルの建築と出会っていたようだ。まぁ、それでも学校、特にその教室は変化のないものの象徴みたいなものだ(いや、児童数は減っているっけ2018/11/15
ケン五
4
学校というと、RC造の画一的な姿が一般的。本書では、その画一的な学校をもっとフレキシブルで魅力的な空間にしていこうと提案している。後半の小学校、中学校の計画あたりが一番面白かった。豊富なデータと図面と写真がいい。やはり学校の未来の姿は、地域の中のコミュニティースクールしかないと自分も思ってしまった。2010/05/28
かりん
3
4:《学校建築の変わらなさと新たな挑戦。》長い間積読していた本を風呂読書。日頃読んでいる本と教育への関わり方が違う方なので発見がある。08年発行なので古くなってしまったが、それでもずっと日本で続いてきた片廊下型平面の学校建築について歴史をひもとき、当時までの新たな動きを紹介してくれる。個人的にはイギリスやアメリカの70年代などの学校建築の図面も楽しくてわくわくした。今はICTやGIGAスクールで、当時よりも普通教室でできることも増えていそう。平がかかったフォントなどページ組もおしゃれ。E2022/03/27
mutou_tsusato
0
以前読んだ学校建築の本に続く形で、図書館で借りて読む。国内外の事例が豊富であるが、建築門外漢としてはデータの分析や図面の意図するところが伝わりづらい。学校の建物というより、子どもたちの生活の場という意味での「学校」建築の捉え方は本質的だと思った。最終章の、地域コミュニティの中の学校の話題が面白い。2010/08/25