出版社内容情報
戦後歌壇に深甚な影響を与えた大歌人。
幻視の女王」「魔女」「黒聖母」「ミュータント」等、劇的賛辞の向こうに、女性性や表現をめぐる歌人の文学的苦闘をみつめる。
内容説明
「幻視の女王」「魔女」「黒聖母」「ミュータント」など、こうした呼び名は怪異の者への棚上げでもある。「読み解きがたさ」こそ、葛原が抱える前衛短歌とは異なる位相なのだ。
目次
アンデルセンのその薄ら氷に似し童話抱きつつひと夜ねむりに落ちむとす
水かぎろひしづかに立てば依らむものこの世にひとつなしと知るべし
とり落さば火焔とならむてのひらのひとつ柘榴の重みにし耐ふ
早春のレモンに深くナイフ立つるをとめよ素晴らしき人生を得よ
奔馬ひとつ冬のかすみの奥に消ゆわれのみが〓々と子をもてりけり
わがうたにわれの紋章のいまだあらずたそがれのごとくかなしみきたる
ソ聯參戰二日ののちに夫が呉れしナルコポン・スコポラミンの致死量
殲滅といふは軍言葉なれ鏖殺といふは魔の言葉なれ
ヴィヴィアン・リーと鈴ふるごとき名をもてる手弱女の髪のなびくかたをしらず
傅きし唇赤き少年を打ちしことありやレオナルド・ダ・ヴィンチ〔ほか〕
著者等紹介
川野里子[カワノサトコ]
昭和34年大分県生まれ。千葉大学大学院文学研究科修士課程修了。歌集に『王者の道』(第15回若山牧水賞)、『硝子の島』(第10回小野市詩歌文学賞)など。評論集に『幻想の重量―葛原妙子の戦後短歌』(第6回葛原妙子賞)など。歌誌「かりん」選者、編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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