内容説明
古代から現代、『日本書紀』から『妖怪ウォッチ』まで、文学・絵画・民俗資料や小説・マンガ等の中で、異類はどのように表現され、背後にどのような文化的要素があったのか。異類の文化を解き明かす初の入門書!参考文献ガイド、異類文化史年表付!
目次
総論 異類文化学への誘い
1 妖怪(総説 描かれる異類たち―妖怪画の変遷史;前近代から現代へ 変貌するヌエ;現代から前近代へ ゆるキャラとフォークロア―ゆるキャラに擬人化される民間伝承)
2 憑依(総説 憑依する霊獣たち―憑き物、神使、コックリさん;前近代から現代へ 狐憑き―近世の憑きもの・クダ狐を中心に;現代から前近代へ ペットの憑霊―犬馬の口寄せからペットリーディングまで)
3 擬人化(総説 擬人化された異類;前近代から現代へ 擬人化された鼠のいる風景―お伽草子『隠れ里』再考;現代から前近代へ 物語歌の擬人化表現―童謡とコミックソングのはざまで;西欧の擬人化事情 西欧の擬人化表現と日本漫画の影響)
著者等紹介
伊藤慎吾[イトウシンゴ]
國學院大學・非常勤講師。物語研究・室町文化史・キャラクター文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
19
「異類の会」メンバーによる論集。本格的な学術書ではなく、かなり自由度の高い作り。古代の怪異から現代のゆるきゃらに至る多種多様な題材に加え、一人の執筆者が何本も論文やコラムを寄せる独自のスタイルで、好きなものを好きなだけ書いている。編者の伊藤慎吾にしてからが、専門である中世文学に寄せた話をするかと思えば東方Projectや「およげ!たいやきくん」について熱弁を振るう有様。この闇鍋的な雑駁さが、正体定かならぬ「異類」を語るにはふさわしいのかもしれない。2025/03/15
CCC
12
妖怪を憑依・擬人化の観点で読み解く本だと勝手に思っていたのだけど、妖怪・憑依・擬人化、それぞれ別個の扱いっぽかった。だから『およげたいやきくん』やら、ゆるキャラやら、妖怪とは直接無関係な耳目を引くネタもポンポン出てくる。かく言う私も東方に釣られました。真面目な話もやるサブカル本、といった立ち位置か。2018/08/14
midorino
8
人が恐れることや理解できないことに姿を与え、恐れ敬う対象にしたり親しみを感じるようになったりというのを大まかな歴史をつかむように説明している本。妖怪といえば私は水木しげるを思い浮かべるけれど、それすら新しい方の姿だというのに気づかされる。擬人化キャラクターと妖怪の違いの説明が興味深かった。絵画における異類形態、異形形態、人間形態の描き分けについても詳しく見てみたいと思った。2016/12/14
phmchb
6
コラムで東方projectの話が載っていたので読んだ。2017/01/05
buchi
6
「共食いキャラ」への言及、擬人化のうつりかわり(現在・菌や汚れと薬と洗剤の闘い)への言及が面白かった。 妖怪の、恐れ忌み、調伏すべき存在から、現代の親しむ存在への移り変わりがよく分かった・・・かな? 読めない漢字(旧漢字みたいなやつとか常用漢字じゃないやつ)がちらほらあって、そのたびに中断して漢字辞書で調べました。ふり仮名が欲しかった。わたしには少し難しかった。2016/05/22