内容説明
その代表作を厳選して紹介。各歌には現代語訳をつける。振り仮名つきで読みやすい丁寧な解説つき。歌人略伝・略年譜を付し、生い立ち・歴史的背景がわかるようにした。より深く知るための読書案内付き。解説で、特色と、文学史的位置づけを行う。巻末に作家・評論家・研究者による名エッセイを収録。
目次
ほととぎす嵯峨へは一里
山畑にしら雲ほどの
五月雨に築土くづれし
紀の海をひがしへわしる
伊予の秋石手の寺の
悔いますなおさへし袖に
夜の帳にささめき尽きし
師と呼ぶをゆるし給へな
ふたたびは寝釈迦に似たる
取り出でて死なぬ文字をば〔ほか〕
著者等紹介
入江春行[イリエハルユキ]
1927年東京都生。法政大学文学部日本文学科卒業。大谷女子大学教授等を歴任。現在、日本文芸学会常任理事等(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
353
「やは肌のあつき血潮にふれも見でさびしからずや道を説く君」ー与謝野晶子といえばこの歌というくらい人口に膾炙した晶子の代表作ともいうべきもの。なんというコケットリーに富んだ表現であることか。初出は明治33年の「明星」8号である。この時代の女性が詠んだ歌としては破格中の破格である。そして同時にこの溢れるばかりの浪漫性はその後の短歌に絶大な足跡を残したばかりか、ロマン主義の血脈を今に伝えている。もう1首「乳ぶさおさへ神秘のとばりそとけりぬここなる花の紅ぞ濃き」ーこれも大きく時代を先取りした歌だろう。2022/12/12
kaizen@名古屋de朝活読書会
20
#与謝野晶子 #短歌 ほととぎす嵯峨へは一里京へ三里水の清滝明けやすき #返歌 黄鶺鴒熱田へは五里初詣伊勢三十里明治九十 歌50解説。 歌人略伝,略年譜,解説,読書案内,付録エッセイと,与謝野晶子を立体的に知るのによい。 解釈の説が分れるものの記載もあり,理解の幅が広がった。2013/04/21
(-"-)
13
〇その子二十歳櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな 〇やは肌のあつき血潮にふれも見でさびしからずや道を説く君 2017/02/10
モリータ
7
◆2011年刊。入江春行編。シリーズの趣旨は引用コメで。◆歌50首を載せ「晶子短歌の評釈を特色とし、伝記的研究にも重点をおいた」とある。巻末に「付録エッセイ」として新間真一(1969)「「明星」の文学史的意義」を収録。◇人口に膾炙した歌が集められているわけではない一方、全集未収録の(後に発見された)マイナーな歌も収録。◇評釈の編者らしさはどのくらいのものだろうか。入れ込み具合がやや気になる。◇伝記的説明があるのはよいが、歌の掲載順が発表年順ではないので、説明が前後・重複して読みにくい。2023/02/18
ハルト
7
読了:◎ 明治の世に、恋の情熱と肉体美を艶やかに歌いあげた与謝野晶子。そんな晶子の短歌五十首が選定されている。「感性が新古今的な審美感に調和するもの」とあったように、どこか古典的で浪漫的であり、なまめかしさが漂うように思いました。情感が生々しく伝わってきます。2020/04/07
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