内容説明
小町の原像をあきらかにするべく、『古今集』に採録された18首を根本資料として詳細に解析。『万葉集』以来の歌語・素材の伝承と、転換された歌の内容、漢詩文とりわけ白居易・元〓(しん)の影響、仏教的世界観が小町に新しい文学的発想を促した様相や、掛詞や平仮名の発明との関わり方を探る。小町歌生成の秘密に迫り、18首の製作年代順を考証。
目次
第1章 小町の夢・鴬鴬の夢―夢の歌六首
第2章 「あはれてふこと」の成立―鴬鴬の物語から恋歌の宣言まで
第3章 「花の色」と「たのみ」(一)―白詩句「浮生乃〓(しょう)穀」を仮題として古今822歌を考える
第4章 「花の色」と「たのみ」(二)―白詩句「艶色即空花」を仮題として古今113歌を考える
第5章 小野小町における掛詞生成試論―「身をう(浮・憂)き草」から「うき世」へ
第6章 「思ひ(火)おき(熾)て」考―古今1030・1104歌とその周辺を『法苑珠林』によって焙り出す試み
第7章 白玉問答のゆくえ―清行・小町贈答歌をめぐって
第8章 「今は(あきはつ)」考―小町・貞樹の贈答をめぐって
第9章 「みるめなき」と「うらみむ」の間―古今623・727歌を相関させる
第10章 「世の中の人の心の花」の色をめぐって
終章 古今集小町歌の成立
著者等紹介
大塚英子[オオツカヒデコ]
1933年生まれ。1955年東京大学文学部国文学科卒業。1986~2003年駒澤大学短期大学部国文科非常勤講師。1993~2003年駒澤大学文学部国文学科非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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