出版社内容情報
シリーズ累計180万部突破!
暗殺者の標的はコンサート会場に!
流れるのは憎しみの血か感動の涙か。
石塚真一さん(漫画家/『BLUE GIANT』)
音楽と人生の接点のドラマ、それ自体が音楽みたい……。
怒涛のラストはジャズのソロのようだった。
菊池亮太さん(ピアニスト・作曲/編曲家・YouTubeクリエイター)
想いは人種-ジャンル-を超え、重なり合う旋律となる。
それぞれの人生が交差する展開はセッションのよう。
【目次】
内容説明
アメリカで指折りのピアニスト、エドワードは、大統領選挙の影響で人種差別が激化していることを憂いていた。そこで自身のコンサートで、黒人音楽を愛した作曲家、ジョージ・ガーシュウィンのあの名曲を弾くことを思い立つ。マネージャーからガーシュウィンでは客を呼べないと反対されるも、ある妙案を思いつく。一方、新大統領の暗殺計画を進めていた〈愛国者〉は、依頼主の男から思わぬ提案をされ―。
著者等紹介
中山七里[ナカヤマシチリ]
1961年、岐阜県生まれ。第8回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2010年に『さよならドビュッシー』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
クキモン
17
待望の岬洋介シリーズ。謎解きの要素は少なめだけれど、狙われている要人が実在の人物をモデルにしているので、頭の中で映像が浮かび上がってきた。音楽に国境はない。同じ音楽を聴いて同じ感動を共有できるのに、国や民族の違いであぜ争わなければならないのか。今、日本だけでなく世界的にも排他思想が広がるなかで、「いまこそガーシュウィン」というタイトルに込めた作者の思いを読者としてしっかりと受け止めたい。2025/08/23
陽ちゃん
13
シリーズ9作目。読了後の今も〈ラプソイン・ブルー〉が頭のなかで鳴っています。アメリカ人のピアニストエドワードは、新大統領の影響で人種差別が激化している現状を憂い、コンサートでかの曲を演奏しようと思いつきますが、収益を考えるマネージャーに反対され、自分と同じくショパンコンクールのファイナリストだった岬との競演を思いつきます。岬の演奏の素晴らしさは勿論ですが、練習時はトレーニングウェアだったり、演奏に耐える体作りのために栄養を考えて自炊してたりと、岬の新たな面が知れて嬉しかったです。2025/09/16
こばゆみ
12
なるほど、これは新しいパターンの展開だ!岬洋介とエドワードが準備しているコンサートの裏で進められる、大統領暗殺計画!ミステリーというよりは音楽的要素の方が強いけれど、これぞ岬洋介シリーズと言った感じ。2025/08/18
NAOAMI
11
民族・人種間の差別、分断。日本は欧米ほどではないと思うが、奇しくも先の選挙では「日本人ファースト」を掲げた政党が躍進を遂げたではないか。対岸の火事とは思えない身近な今後が舞台。岬と同じショパンコンクールのファイナリストエドワードが自らのプログラムにガーシュウィンを選び、民族融合を掲げ、その旗に岬も賛同し夢の競演が始まる。別軸で急進的な自国ファーストを掲げる〇ランプ大統領暗殺計画に加担する「愛国者」なるスナイパーの存在が。どのように現場に入り込み、得物は何?の流れが実に流暢。社会派ミステリとして完成度高い。2025/08/18
みやび
10
岬洋介シリーズ⑨時は2016年のニューヨーク。第一次トランプ政権が誕生し移民やマイノリティの人々への迫害が深刻化するアメリカ。小説の中の話とはいえこれは本当に起こっている出来事。なぜこんなにも差別されなければいけないのか。自由の国アメリカと言えど誰かを傷つけてまで優先される自由などない。そんな理不尽にデモや暴力ではなく音楽の力で抗おうとする岬とエドワードがかっこいい。政治家や軍人などではなくても普通の市民の小さな力でもそれぞれの闘い方で世の中はかえていけると信じたい。2025/09/15