出版社内容情報
「僕はずっとヨシダさんからの連絡を待っています」
いわくつきの廃墟の数々を共に巡った親友・ヨシダさんは、恐怖に呑まれ、あの世とこの世の狭間に引きずられていってしまいました。
<第11回ネット小説大賞受賞!>
“僕”とヨシダさんの身に起こった不可思議な体験を集めた短編集。5万字超の書き下ろし加え、Web発の怪作が待望の書籍化!
【目次】
はじめまして/K病院/丑の刻参り/廃校であった怖い話/三ツ寺(ミッテラ)鉄仮面少女/二十世紀の聖域/東京夜走老婆/日本橋(ポンバシ)漂流少年/二十一世紀の聖域/再会/死神/人形塚/MOTHER/おわりのごあいさつ
内容説明
僕の友達にヨシダさんという人が居ます。歳は四十代半ばで長身痩躯。酒豪。ちなみに中々の二枚目。職業タクシー運転手。数年前の或る日、僕が新宿駅西口でたまたま停めたタクシーの運転手さんがヨシダさんでした。会話をする中で妙にウマが合い、怖いもの好きの彼から沢山の怪談を聞きました。そしていつの間にか、その場に僕も連れていかれるようになりました。初めは数カ月に一度、多い時はひと月に二度三度。僕は彼と一緒に日本のあちこちにある廃墟の数々に足を踏み入れました。これは僕が謎多き親友ヨシダさんと恐怖を味わい、束の間を共に過ごした記憶の中から幾つかを選んだものです。「廃校であった怖い話」「二十世紀の聖域」「東京夜走老婆」「人形塚」などのエピソードのほか、5万字超の書き下ろしを加え、待望の書籍化!第11回ネット小説大賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
182
著者の佐野さんとタクシー運転手ヨシダさんが心霊スポット・廃墟巡りを繰り広げる力作怪奇短編集ですよ。前半は舞台に大阪が出て来る事もあって不気味な中にも掛け合い漫才的な楽しいノリがあって和気藹々の雰囲気もありましたが、後半からは一気に余裕がなくなりマジな超怖いモードに突入して心からビビッて震え上がりまして最後まで生きた心地のしない恐ろしさでしたよ。いろいろと人それぞれの感想がお有りのようですが、私的には大好きな作品でしたので今後とも新ネタをどんどん書きまくって頑張って頂きたいですね。#NetGalleyJP 2025/01/26
しんたろー
122
佐野和哉さん初読み。私の職業なのと、読友さんの高評価に惹かれて購入。掌編5つは、タイトルから予想していた通りの怪談集ぽい味わい。短編『三ッ寺鉄仮面少女』は「都会の童話」的な雰囲気がして好み。中編『日本橋漂流少年』は、シッカリと創り込まれた現代的なホラーで「やるなー!」と感心した(上から目線で何様?)。中盤以降が長編になっていて、主人公・カズヤが怒涛の怪奇に巻き込まれ、ヨシダさんの哀しい人生を知る話…二転三転する展開と怖いシーン満載は良かったが、人間の闇が繰り返し描かれているので、若干食傷気味でもあった。2024/08/31
ちょろこ
116
息をのむ展開の一冊。廃墟スポットを一緒に巡るほどの"僕"の大親友のヨシダさんは見た目もイケてるタクシー運転手。そのヨシダさんと"僕"との数々の不思議な出来事は定番の怪談感いっぱいからの息をのむ展開にやられた感いっぱい。まるで行き先のわからないタクシーに乗車し過ぎ去る景色をボーっと眺めていたら次第にそうもいかず。こうもヤバい景色を次から次へと見せられるとは完全予想外。迫り来る文章が恐怖の集団となって心を蝕んでくるような怖さ。最後はご乗車お疲れさまでした、と心落ち着かぬままポンと降ろされた感覚。ヨシダさん…。2024/08/19
タイ子
86
あー、これは…。読む前にタイトルから勝手に想像していたものと読んだ後の何とも形容しがたい180度違う感覚。こんな作品だったんだと思うのは私だけではないはず。タクシー運転手のヨシダさんが見聞きした怪奇な現象はそれなりにゾワリ感をもたらしてくれるが、それ以上に胸の中でざわめく気持ちの悪い感覚が中盤あたりから押し寄せてくる。人間の一番醜い部分に抗うように生きてきたもう一人の人間の必死さ。成仏することのない哀しい情念と言う名の魂の叫び。何をどう書こうと私の表現力は拙すぎる。まずは一読を。何よりヨシダさん。。。2024/08/23
yukaring
77
タクシー運転手さんが仕事で出会った怪談を集めたお話かと思いきや全然予想と違う、かなりヘビーなホラーストーリー。怖いもの好きのヨシダさんは曰く付きの廃墟や幽霊の噂を追いかける心霊マニア。彼のタクシーに乗って怪談話で盛り上がった“僕”は彼とすっかり意気投合し一緒に廃墟を巡る親友に。ヨシダさんが遭遇した怖い話や僕カズヤと心霊スポットを訪れるお話などが読み進めるうちに加速度的に怖さが増し、曰くの内容も陰惨になっていく。そして明らかになるヨシダさんの過去と衝撃の結末。心を抉るような読後感で不思議な余韻が残る1冊。2024/08/13
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