出版社内容情報
戦後日本を代表する小説家・山田風太郎生誕100周年を記念した、時代小説ベストコレクションです。『慶長大食漢』『死なない剣豪』『嗚呼益羅男』『妖剣林田左文』『姦臣今川状』『南無殺生三万人』『売色奴刑』の7編を収録。
内容説明
天下の家康を叱咤した唯一の人物は、ある食道楽の商人だった―。江戸幕府が盤石になりつつある時代。知恵と豪胆さで商人たちが成り上がっていく一方、泰平の世の秩序のために多くの犠牲もあった。疑わしきをすべて罰し、三万人余りを処刑した鬼勘解由。美しさゆえに理不尽な罪に問われた女たち。それぞれが自分の信じるもののために生きた姿を描き切った、山田風太郎の時代小説、厳選7編を収録。
著者等紹介
山田風太郎[ヤマダフウタロウ]
1922年、兵庫県生まれ。1947年、探偵小説誌『宝石』の懸賞募集に入選してデビュー。異色の探偵作家として活躍するが、1958年にスタートした「忍法帖」シリーズがベストセラーとなる。2001年の没後も旧作の復刊、未刊行作品の発掘が相次いでいる
日下三蔵[クサカサンゾウ]
1968年、神奈川県生まれ。専修大学文学部卒。出版社勤務を経て、現在ミステリー・SF評論家、アンソロジスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Sam
51
「山田風太郎時代小説コレクション」として編まれた7編で、忍法帖シリーズが幕引きとなり明治シリーズが始まる前の1971年に発表された作品とのこと。どれも人間の根源的な欲望によって引き起こされる奇想天外の物語であり、とはいえだからといって深遠で格調高いストーリーかというとそんなことはなく、「男根占い」やら「乳吸い爺い」やらとにかく淫靡で苦笑を禁じ得ないような話が連なっているのであった。いずれにしてもどれも洞察力に満ちた興味深い作品であることは間違いなく、さすが山田風太郎。コレクションのもう一冊、「天の巻」へ。2023/09/17
one_shot
24
読み友さんより。円熟の中編七篇。巻頭の「慶長大食漢」では、徳川家呉服御用達の三代目茶屋四郎次郎と家康の微妙な関係が描かれる。滑稽さと緊迫感が程よく縒り合わされて引き込まれる。清廉なセンスの初代と違って何かと趣味がバタ臭い三代目を、家康はどこか嫌っている。しかし、この男が供する馳走は、この世のものとは思えないほどの美味。質素を良しとする家康とは相反する快楽主義者の三代目。しかし、次の皿が憎らしいほど待ち遠しいわい!奇想と仕掛けの風太郎節全開で、武家社会で食や性を通して人が人たらんともがく姿に熱くなる。2023/02/28
サケ太
20
やはりめちゃ面白い。どれもこれも捻りが効いている。序盤からは全く想像できない終幕に驚かされる。皮肉が効きながらも、どこか感動さえ覚えさせられるのが巧すぎる。最高の1冊。2022/11/30
ドットジェピー
4
面白かったです2022/11/07
ケロたん
3
私が知らない実在の人物の荒唐無稽な生き様。美女に女体。風太郎節炸裂。2023/03/05