出版社内容情報
衝撃の「自決」から50年。いまなお鮮やかな記憶がよみがえる、作家・三島由紀夫の自衛隊市ヶ谷駐屯地占拠事件。報道関係者が密かに入手していた幻の検視写真は何を物語るのか。半世紀ぶりに明かされる「自決」の真実と、事件にかかわった人々の人生模様。
内容説明
衝撃の「割腹自殺」から半世紀。あの日、市ヶ谷の自衛隊駐屯地総監室のなかで何があったのか。50年の時を経て、三島由紀夫の覚悟と決意がよみがえる。発掘された検視写真と11・25ドキュメント。法医学者が語る三島の「最期」。事件に関わった人々の「それから」。そして歴史のなかに位置付けられた三島文学の価値。戦後日本のターニングポイントとなった「三島事件」を新たな資料から読み直す。
目次
監察医が見た三島の「最期」―「鮮やかな最期だった」三島由紀夫「検視写真」が語る「自決」の真実
日本を揺るがせた「自衛隊突入」―人気作家が自衛隊乱入!「11・25」ドキュメントPART1
老醜を拒否した男の「美学」―衝撃的な「自決」!「11・25」ドキュメントPART2
「被告人を懲役4年に処する」―「楯の会」メンバーへの刑事事件「判決全文」と計画実行の動機
いまよみがえる50年前の「決意」―三島由紀夫伝説の「最後の演説」と残された「檄」全文
『三島由紀夫伝』刊行から四半世紀―作家・猪瀬直樹が語る三島評伝『ペルソナ』と自決の「真の動機」
司馬遼太郎、吉本隆明、江藤淳の三島評―同時代を生きた作家達が見た「三島の死」とその意味〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みこ
19
没後50年に合わせて刊行。産まれた時に既に亡くなっていたので事件のことも人物自体も私にとっては「歴史」である。気軽な読み物的要素が強いが、それでも連合赤軍の話や当時の人たちの証言を交えるなど、次代の雰囲気を醸し出そうという試みは感じられる。恐らく既に散々語られている話だろうからタイトルが言うほど新事実というわけではなさそうだが。2021/01/14
澤水月
12
検死写真そのものは無い。決起から割腹までの詳細、介錯の状況(現場にいた楯の会の者の裁判記録)。切腹と介錯はセットだが介錯者を承諾殺人と見做すか否かが問われていて現代社会ではそうなんだなと目鱗。死後タブーとなっていた三島の人生についての評伝「ペルソナ」抜粋と筆者の猪瀬直樹インタ。夫人の存在(と、ぶっちゃけ文芸出版社)がタブーたらしめている障壁だったが承諾取っているという。司馬遼太郎、吉本隆明、江藤淳の論評。檄文全文もあり三島、その死について知らない人に入門としていい。死後50年とは2020/10/16
すうさん
11
大学生時代、三島由紀夫が大好きで、文庫出てていた全作品を読んだ。特に「仮面の告白」「金閣寺」「豊穣の海」がお気に入りで、私は三島の美に対する興味に惹かれた。僕が熱中したときは彼は既に鬼籍に入っており割腹自殺を遂げたことは知っていたが、彼の行動は自分の美意識に対するパフォーマンスとしか思えなかった。没後50年経て、憲法改正を悲願にしていた安倍晋三内閣もいよいよ潰えて、再び三島の思想が亡霊のように現れた。彼の主張も理解できる年代になったが、本書を読後もやはり彼は理論ではなく美意識に向かったとしか思えないのだ。2020/12/11
ふたば
9
成育歴や、作品、彼を知る人物達からの人物評を見ても、どうしてここまで思い込んでしまったのだろうか、と腑に落ちない。押し付けられた憲法、その憲法下で違憲状態になっている自衛隊に決起を促す行為だったというが、これが成立すると踏んだ根拠がやはりわからない。事件から50年経っても、憲法は変えられなかった。改憲を旗印にした政権下であってもできなかった。この事件の時も、今ではもっと多くの人が、押し付けられた憲法であることなど忘れていることだろう。そんな状況でこんなことをしても誰の心にも響かないのは自明の理だろう。2020/10/24
Ryoko
5
別冊◯島編集部がまとめた本は読んでがっかり本が多いんだけど今回は内容も濃く面白かった。遺体から致命傷となったものは何かとか、その場に立ち合った人から聞いた三島由紀夫の最期の様子も書かれている。それにしても昭和初期?の有名作家は自死された人が多い。時代も関係してるんですかね。2020/11/08