出版社内容情報
『このミス』大賞作家の最新作。鍾乳洞の首無し死体、密室状態のログハウスでの大量殺人、誰もいない場所での謎の発火、不可思議な事件に遭遇する建築史学者は、それらを解決することで歴史的建造物「世界七不思議」(ギザの大ピラミッド、バビロンの空中庭園、エフェソスのアルテミス神殿、オリンピアのゼウス像、ハリカルナッソスのマウソロス霊廟、ロドス島の巨像、アレクサンドリアの大灯台)と日本の七つの景観との関係に迫っていく。
内容説明
不結論馬は大学院で建築史を研究している学生である。論馬は高校時代に義兄の秀一と共に旅先で不可思議な事件に遭遇する。それから九年経った今、論馬を訪ねてきた女性歴史学者、由布院蘆花との出会いをきっかけに、再び奇妙な事件に巻き込まれていく。鍾乳洞内で発見された首無し死体、新雪に覆われて密室状態になったログハウス内での大量殺人、誰もいない場所での謎の発火。それらの事件に向き合うことで、「世界七不思議」という歴史的建造物の謎を解明することとなる。
著者等紹介
蒼井碧[アオイペキ]
1992年生まれ。第16回『このミステリーがすごい!』大賞にて大賞受賞、『オーパーツ 死を招く至宝』(宝島社)にてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みかん🍊
89
大学院で建築史を研究している論馬は高校の時、義兄と共に岩手の鍾乳洞での殺人事件に遭遇する、それから9年、義兄の後輩と共に向かった富士山麓で再びログハウスでの大量殺人に遭遇する、事件はさらりと解決するが、本題は世界七不思議と日本の世界遺産との関連、大陸からの文化が流れ文化や建築が残りやすい日本には今なお存続している、岩手、山梨、奈良と場面を移し検証の鍵を得る論馬、推理小説というより、建築史や世界七不思議の蘊蓄がメインのようで、それなりに面白かったが、最後のやり取りが今一つ分からなかった。2021/03/19
雪紫
50
建築探偵?いいえ、桜井京介とは関係ないし、建築「史」探偵です。事件がいつの間にかもう解答編になってるのは別として(まあ、事件だったら1話が好み)事件からもたらされる七不思議との位置づけがこじつけというか、それにしては暗合が・・・ある意味、囚われるのも無理ないのか。高田崇史さんがこれを読んだ反応が知りたい。2021/02/08
rosetta
33
★★★☆☆現実の事件より建築に纏わる歴史の謎を解くスタイル。高田崇史や鯨統一郎の歴史新解釈小説に近い系統。要するに事件が邪魔(笑)。 ただ謎解きは会話が予定調和でリアリティや解決に向かうハラハラ感が足りないのがちょっと残念。キャラも無理くり設定で薄い印象。世界七不思議が今の日本で世界遺産として残っているという登場人物の主張も、そういう目で見たらなんでもそう見えるよね、という程度の説得力しかない。それでも表紙を含め、いい感じの読み物にはなっている。2020/12/02
サケ太
23
好奇心の刺激されるミステリー。世界的な建築物の謎を追う主人公らが遭遇する事件。だが、事件に関わる建築物。しかし、主人公らが考える『世界の七不思議』(「思いはかることもことばで⾔い表わすこともできない」世界的な七つの建築物)についての考察が必ずしも事件に関わるものではない場合があり、こじつけているようにも感じる。だが、事件そのものに関する推理と建築物に対する歴史や考え方は読んでいて面白い。2020/10/24
とくてる将軍
21
【図書館本】世界七不思議の話が長くて飽きてしまい、事件の解決と世界七不思議の関連性があまり見ないまま読み終わった。別の作品に期待します。2021/04/05