内容説明
日本人の多くは第二次世界大戦には興味があっても、第一次世界大戦にはほとんど興味を示さない。しかし現在、ポピュリズムの台頭、グローバリズムの限界、ナショナリズムの隆盛と、世界は第一次世界大戦の前夜に非常に似てきた。今こそ日本人も、第一次世界大戦を再検証すべき時が来ているのではないか。第一次世界大戦では、少なくとも軍関係で八五〇万人、さらに民間人を加えると一六〇〇万人が亡くなったと言われる。本書では、ここ数年の最先端の研究を踏まえて、各専門家に第一次世界大戦を分析してもらった。世界が変わりつつある今こそ知っておきたい現代史である。
目次
第1章 第一次世界大戦史(大戦史 第一次世界大戦とは何だったのか?;通説ではわからない!第一次世界大戦の原因を読み解く;多大な影響を与えた日本にとっての第一次世界大戦)
第2章 現代を読み解く鍵としての第一次世界大戦(シギント(電子諜報)の誕生と発達を生み出した第一次世界大戦のスパイ活動
グローバリゼーションの失敗を読む 第一次世界大戦と現代
ポピュリズムとナショナリズム 一九一〇年代と現在共通する3つのリスク)
第3章 時代を変えた第一次世界大戦(フロイト、ユング、アドラー 第一次世界大戦が心理学者に与えた影響;急速に進んだ女性の社会進出と第一次世界大戦)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
もりやまたけよし
34
タイトルに期待したが、やはりページ数が少ないせいか、全体の流れを書いている1章は、単に1次大戦のダイジェストになってしまっているのが惜しい。ほかの章は視点を変えて分析しているので、新鮮だった。毒ガスがいまいちパッとしない武器だったとは。毒ガスが充満している間だけマスクをしていればいいだけの話か。2020/03/15
ta_chanko
8
グローバル化の進展、ポピュリズム・ナショナリズムの台頭、先進国経済の行き詰まりと中間層の没落、新興国の台頭による勢力バランスの崩壊、移民の増加と排外主義の蔓延…。100年前と驚くほど状況が似ている。そしてパンデミックの危機。核兵器があるから大国同士の戦争にはならないといっても、ドローン・ロボット・AI兵器などが開発されて軍事バランスが崩れればどうなるか分からない。2020/02/23
ikeikeikea
4
玉石混交な1冊。山室信一氏、飯倉章氏の論考は素晴らしいが、ヒドイものが多い。2020/02/08
エク
2
現在が第一次世界大戦前の状況と酷似しているとのこと。何故第一次世界大戦が起こったのか。グローバル化が進むと格差が広がり、中間層が没落する。その不満の吐口として、ポピュリズムがはびこり、ナショナリズムが台頭する。国内の深刻化する問題や矛盾を解決する為にナショナリズムを煽り戦争へと突入する。しかも、どの国の指導者も長期化し総力戦になるとは予想していなかった。確かに現代と似ている。2020/04/07
Lieu
1
部分的にやや現代に引きつけ過ぎているきらいはあるが、3B政策と3C政策が対立していなかったこと、どの大国も大国同士の戦争に拡大することを予測していなかったことなどがはっきりわかっただけでも有益な読書であった。2020/06/11