出版社内容情報
山はどのようにしてつくられたのか」――地形学における最古にして最大の謎に迫る、知的冒険の第3弾。
『分水嶺の謎』『準平原の謎』に続く今回は、“川”がテーマです。
平原を自由気ままに蛇行して流れる川。
その川は大地が隆起したあとも下刻を続け、蛇行した深いV字谷がつくられる……。
川が大地を侵食する『穿入蛇行』は、地形学の根幹です。
そのことを疑う人は、世界中に一人もいないでしょう。
しかし、大地の主たる彫刻家は、本当に川なのでしょうか?
100年を超す地形学の常識を疑い、新たな視点で地形の謎をひもとく1冊!
存分にお楽しみください。
【目次】
■旅の準備
川も蛇行、谷も蛇行/蛇行河川の取り扱い方/勝手気ままな蛇行河川/自然の摂理 フラクタル/曲がってばかりはいられない/自由な蛇行も制約あり/川が流れ始めたとき……/不思議な不思議な穿入蛇行/山地を流れる/蛇行河川は自由なの?/〝すべての道はデービスに通ず〟/成因を包含する学術用語の罠/選んだ言葉が世界を狭めてしまう/側刻とはいうものの……/真下に削る掘削蛇行/横にはみ出す生育蛇行/川が大地を侵食した?/河流と河谷の蛇行の不一致/流域面積と比較する理由/来る日も来る日も大雨だった?/他人事ではない蛇行の不一致/中国山地の穿入蛇行/今でもうなされる地質調査の記憶/生育から掘削へギアチェンジ/日本の川は〝制約蛇行〟?/河谷の蛇行は世界と一緒/都合の悪いことには目をつぶらない/小瀬川の河川争奪/小郷川はかつて大河川だった/生見川は流量を失った小郷川?/蛇行の波長は河川争奪のおかげ?/渋前の谷中分水界の成因/源流に残された一次蛇行/争奪直前は必ず源流
コラムvol.1 「ないの? それともなくなったの?」
■第1日 錦川の不思議な蛇行
ずっと気になっていた錦川/つい立ち寄ってしまう谷中分水界/侵食小起伏面は、かつての浅い海底/かつての海峡を走る道路網/〆は見事な谷中分水界と片峠/生まれたばかりの錦川/川の流路は海が決める/最後の海峡を追いかける河口/椅子取りゲームが流路を決める/海と河口の追いかけっこ/一杯のつもりが〝はしご酒〟/流路が決まると合流も確定/蛇行の犯人は海だった/川は同じ高さで合流する/思想の片輪はダーウィンの『種の起源』/〝大地の主たる彫刻家〟は誰?
■第2日 蛇行河川の置き土産
覚えてますか? 胡麻の丸山/近道した蛇行河川/日本一の環流丘陵/胡麻を流れたかつての蛇行河川/全国各地へ/環流丘陵巡り/北海道の環流丘陵/東北地方の環流丘陵/関東地方の環流丘陵/中部地方の環流丘陵/近畿地方の環流丘陵/中国地方の環流丘陵/四国地方の環流丘陵/九州地方の環流丘陵
■第3日 環流丘陵の謎
屈曲しすぎる蛇行河川/蝶ネクタイが外れない/〝環流丘陵っぽい〟地形/日本各地の疑似環流丘陵/腑に落ちない環流丘陵/環流丘陵は島だった/地形の〝神経衰弱〟/半島から島に、そして孤立丘陵へ/海に出かけて答え合わせ/背もたれ付きの〝カウンターチェア〟
コラムvol.2 「ローカルとグローバル」
■第4日 貫通丘陵の謎
環流ではなく貫通丘陵/貫通丘陵も島だった/高所に残るかつての島/結論を制約する言葉の刃/複雑すぎる環流丘陵/孤立丘陵は島だった/川は大地を下刻しない/海が残した段々畑
■第5日 先行谷の謎
先行谷とは先行河川のこと/山地を横切る先行谷/川が先? 谷が先?/似て非なる疑似先行谷/偶然というにもほどがある積載谷/谷は最初からできていた/すべては陸が誕生
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