出版社内容情報
宇宙のビジネス化を目指す取り組みが世界的に活発化しています。主役は地球低軌道(LEO)ですが、月や火星など深宇宙探査のビジネス化も始動しました。宇宙先進国の一角ながら米国や中国に大きな後れを取る日本では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が宇宙市場の拡大や社会課題の解決、フロンティアの開拓を目指して最大10年間で1兆円を投下する「宇宙戦略基金」で巻き返しを図ります。
宇宙ビジネスの舞台は様々あります。代表格が、月面を経済圏とするための月面プロジェクト。2025年以降、月面にあるとされる水探査が本格化します。これが燃料や飲料として使えるとなれば、月面での長期滞在(探査・観光)や基地建設が実現する可能性があります。将来的には、月面は火星探査の拠点として有望視されており、月面ビジネスへの期待も一層高まります。
宇宙通信(非地上系ネットワーク、NTN)も、米スペースX社が開発した衛星ブロードバンドインターネット「スターリンク」の成功を受け、世界中で開発が活発化しています。一口にNTNといっても、スターリンク対抗のLEO衛星高速通信、スマートフォン(スマホ)直接通信、HAPS(成層圏通信プラットフォーム)、静止軌道(GEO)衛星によるIoT(モノのインターネット)通信などと多様。NTNは次世代通信規格「6G(第6世代移動通信システム)」の目玉の一つとして、通信事業者間での競争が激しくなっています。
他にも、安全保障分野での需要が旺盛な上、民間でのデータ活用が活発化している地球観測衛星を使ったビジネスや、全地球測位衛星システム(GPS)妨害の深刻化により低軌道でのコンステレーションが期待される測位衛星を活用したビジネスなどがあります。その一方で、大量の衛星打ち上げで急増するスペースデブリ(宇宙ゴミ)の対策が喫緊の課題となっています。
本書では、こうした宇宙ビジネスの最先端事情を紹介しながら、今後10年間のビジネスチャンスがどこにあるのかを技術の視点でひも解いていきます。
【目次】
第1章 市場は高成長モードに突入、35年に270兆円の予測も
1-1 正のループが回り始めた宇宙ビジネス
1-2 スターリンクの独走に“待った”
インタビュー1 宇宙飛行士の若田氏に聞く
日本の宇宙技術「満遍なくでは太刀打ちできない」
インタビュー2 ヴァストCEOと主任宇宙飛行士に聞く
世界初の人工重力宇宙ステーション、米ベンチャーが挑戦
第2章 火付け役はスターリンク、宇宙通信で世界大競争
2-1 激戦の宇宙通信、5つの疑問
2-2 スターリンク独走に警戒感、EUが独自衛星通信網構築へ
2-3 国内大手通信事業者が衛星直接通信で火花
2-4 「空飛ぶ基地局」は日本から発進
2-5 衛星IoT、地球のあらゆる場所からデータ取得
2-6 「いつでもどこでも途切れない」、実現の鍵握る4 つの技術
コラム HAPSとLEO 衛星で世界初の光通信実証へ
2-7 海の次世代通信基盤「衛星VDES」
第3章 新大陸「月面」、輸送・探査・滞在がビッグビジネスに
3-1 早くも「米中対立」、将来の経済圏にらみ覇権争い
コラム JAXAが世界初目指す「火星圏」サンプルリターン
3-2 世界初「月面精密着陸」のインパクト
インタビュー JAXA SLIM責任者の坂井氏に聞く
月面で生きた日本のものづくり
3-3 「月面版GPS」を日米欧が標準化へ、月-地球間光通信も実用化に前進
3-4 米企業が先行の月輸送、ispace は27 年に3 度目の挑戦
コラム ispace の月面着陸失敗、高度測定センサーのハード異常が原因
3-5 「月面ケータイ」目指すノキア、最初の実証は成功せず
3-6 月の資源は誰のもの?
第4章 日本にもチャンス、急拡大する地球観測衛星ビジネス
4-1 スカパーJSAT やIHI、観測衛星コンステレーションに参入続々
4-2 光学衛星12 機で1日1 回の観測実現へ
4-3 水道管漏水対策で衛星データが大活躍
インタビュー1 アクセルスペースCEOの中村氏に聞く
人工衛星の「開発」と「運用」の両輪で顧客へ最適提案
インタビュー2 Synspective技術戦略室室長の小畑氏に聞く
世界最大規模のSAR 衛星の量産に挑む
インタビュー3 QPS研究所社長の大西氏に聞く
地球観測データで「九州に宇宙産業を立ち上げる」
第5章 GPS妨害で低軌道衛星に脚光、拡大する測位衛星ビジネス
5-1 GPS妨害の深刻化で「低
内容説明
宇宙通信、月面開発、観測・測位衛星、スペースデブリ除去、宇宙太陽光発電。世界最前線と技術を徹底解説!総額1兆円投資の宇宙戦略基金、日本勝利のシナリオ。
目次
第1章 市場は高成長モードに突入、35年に270兆円の予測も
第2章 火付け役はスターリンク、宇宙通信で世界大競争
第3章 新大陸「月面」、輸送・探査・滞在がビッグビジネスに
第4章 日本にもチャンス、急拡大する地球観測衛星ビジネス
第5章 GPS妨害で低軌道衛星に脚光、拡大する測位衛星ビジネス
第6章 日本が挑む、世界初のスペースデブリ除去
第7章 世界で再起動する夢の発電、宇宙太陽光発電
第8章 宇宙戦略基金が始動、勝ち残りへ日本の正念場
著者等紹介
内田泰[ウチダヤスシ]
日経クロステック/日経エレクトロニクス編集委員。1990年日経BPに入社。日経マテリアル、日経パソコン、日経エレクトロニクス、日経電子版などで記者・副編集長を務める。日本クロステックは2018年2月の創刊時から担当し、現在に至る。2001~2003年まで約2年間、米シリコンバレー支局に駐在。現在は宇宙や空飛ぶクルマ、AI(人工知能)ロボット、スポーツテックなど主に新規事業領域の取材・執筆に力を入れている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。



