出版社内容情報
なぜ、破壊的な政策が登場したのか? 世界経済はこれからどうなるのか?
国際経済学の権威がトランプ政権の関税措置発動の背景を明らかにし、世界の行方を展望する。
伊藤元重氏解説
日米関税合意直後に執筆された「日本語版序文」収録
■2025年4月2日、アメリカは、かつて自ら構築し、主導してきた世界貿易体制に正面から攻撃を仕掛けた。トランプ大統領による関税措置、つまり「貿易の大ハッキング」だ。
■その根底にあるのは、アメリカを世界貿易の犠牲者とみなし、国内外のグローバリストやエリートたちに裏切られたとする「不満ドクトリン」だ。このドクトリンによれば、関税は報復の象徴であり、不公正な相手国を罰するものだ。だが、関税でねらいどおりに貿易赤字を解消し、国内の産業を復活させ、中間層を苦境から救済することはできない。しかし、政治的には強く支持され、保護主義がニューノーマルとなる。
■アメリカが世界貿易秩序のリーダーから退いたいま、日本はどう対応すべきか。国際経済学の権威がトランプ政権の関税措置発動の背景を明らかにし、世界の行方を展望する。
【目次】
日本語版序文
第1章 貿易の大ハッキング
第2章 不満ドクトリン
第3章 カオス 意図したものか、機能不全か
第4章 関税は中間層の助けにならないが、それでもワシントンで支持される理由
第5章 関税では産業の復活はできない
第 6 章 関税では貿易赤字は解消できない
第7章 アメリカと中国の対立は貿易戦争ではない
第8章 貿易ハッキングは世界を分断するか
第9章 ハッキングによって世界貿易秩序は壊されたのか
第10章 ポスト・アメリカ主導時代への戦略
第11章 なぜリーダーたちは立ち上がらなければならないのか
付録1 関税と工業化の歴史上の事例/付録2 貿易赤字を改善すると考えられていた革新的出来事が、為替レートで相殺されたことを示すわかりやすいふたつの事例
監訳者解説
内容説明
なぜ、破壊的な政策が登場したのか?世界経済はこれからどうなるのか?伊藤元重氏解説。日米関税合意直後に執筆された「日本語版序文」収録。
目次
第1章 貿易の大ハッキング 不満、混乱、アメリカが自ら築いた体制に仕掛けた戦争
第2章 不満ドクトリン アメリカの保護主義、そして、なぜそれがトランプ後もつづくのかは、「不満」で説明がつく
第3章 カオス 意図したものか、機能不全か トランプの貿易政策に一貫性がない理由
第4章 関税は中間層の助けにならないが、それでもワシントンで支持される理由 経済に対する特効薬を、関税というプラセボ(偽薬)にすり替える政治
第5章 関税では産業の復活はできない なぜ保護主義ではアメリカの産業の立て直しができないのか
第6章 関税では貿易赤字は解消できない トランプの貿易政策の根底にある神話
第7章 アメリカと中国の対立は貿易戦争ではない 体制の衝突に勝利できるという危険な幻想
第8章 貿易ハッキングは世界を分断するか ポスト・アメリカ主導の世界貿易秩序のシナリオ
第9章 ハッキングによって世界貿易秩序は壊されたのか システム管理者がハッカーに変わるとき
第10章 ポスト・アメリカ主導時代への戦略 ルールに基づく体制を守るため、ルールに従い、「集団的リーダーシップ」と協調する
第11章 なぜリーダーたちは立ち上がらなければならないのか 貿易体制を救うことが、世界の繁栄を救うことになる
付録
著者等紹介
ボールドウィン,リチャード[ボールドウィン,リチャード] [Baldwin,Richard]
スイス国際経営開発研究所(IMD)ビジネススクール教授、経済政策ポータルサイトVoxEU.orgファウンダー、編集長。米マサチューセッツ工科大学(MIT)Ph.D.。ブッシュ(父)政権で大統領経済諮問委員会(CEA)シニア・エコノミストとしてウルグアイ・ラウンド、日米間の貿易交渉を担当。グローバリゼーションに関連して、世界各国の政府、国際機関に助言活動を行う
伊藤元重[イトウモトシゲ]
東京大学名誉教授。1951年静岡県生まれ。東京大学経済学部卒業。米ロチェスター大学大学院経済学研究科博士課程修了。同大学Ph.D.。専門は国際経済学。東京大学経済学部助教授、同大学大学院経済学研究科教授を経て、2016年4月~2022年3月まで学習院大学教授。2016年6月より東京大学名誉教授
笹田もと子[ササダモトコ]
翻訳家。電機メーカー勤務を経て、翻訳家に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。