出版社内容情報
金融正常化にはどんな問題が待ち受けるのか? そのショックを受け止めきれるのか?――主要な論点について、周到な解説と実証分析であぶりだす「民間版多角的レビュー」
本書は、新しい時代の中央銀行論をテーマとしている。日本銀行が四半世紀にわたり実施してきた非伝統的な金融政策を振り返り、将来再びデフレと闘うことになった場合に備えて政策判断の材料を提供することを目的としている。政策当局者でも市場参加者でもない第三者の視点から、金融政策の効果と副作用を検証し、今後の課題を提示する。
日銀は大規模金融緩和を解除するとともに政策金利を引き上げ、表向きには国債の買い入れ減額(テーパリング)の旗を掲げながら、実際には巨大なバランスシートを縮小するQT(量的引き締め)を進めている。だが、植田和男日銀総裁の言う「普通の金融政策」に戻るまでの道のりは、長くて険しいものになりそうである。日銀は金融政策のツールボックスにどの道具を残しておくべきなのか、金融正常化の過程で留意しなければならない点は何か、政策当局者が検証しにくい分野があるとすればそれは何で、どのような結論が導き出されるのか――。本書はこうした問いに答える、いわば「民間版の多角的レビュー」である。
【目次】
序章 非伝統的金融政策を概観する
第1章 日銀に代わる国債の担い手は誰か――事実上のQTと国債管理政策
第2章 日銀は当座預金をどこまで減らせるか――最適なバランスシート規模
第3章 観察できない自然利子率と中立金利――日銀の金利政策
第4章 リスク性資産の買い入れ――ETF買い入れは企業ガバナンスを弱めたか
第5章 J-REIT買い入れはリスクプレミアムの縮小やオフィス賃料の上昇につながったか
第6章 累計23兆円の社債買い入れはスプレッドの縮小や設備投資につながったか
第7章 プルーデンス政策――地域金融強化のための特別当座預金制度
第8章 金利ある世界で動き出すたんす預金――店舗やATMの立地状況から銀行券の戻りを考える
第9章 金融正常化で日銀に発生する損失のシミュレーションと中央銀行の独立性
内容説明
日銀が1990年代末から続けてきた非伝統的金融政策を振り返り、効果と副作用について検証。2024年3月の大規模緩和の解除を受け、日銀が金融正常化を進める過程で直面する恐れのある問題を提起し、処方箋を探る。
目次
序章 非伝統的金融政策を概観する
第1章 日銀に代わる国債の担い手は誰か―事実上のQTと国債管理政策
第2章 日銀は当座預金をどこまで減らせるか―最適なバランスシート規模
第3章 観察できない自然利子率と中立金利―日銀の金利政策
第4章 リスク性資産の買い入れ―ETF買い入れは企業ガバナンスを弱めたか
第5章 J‐REIT買い入れはリスクプレミアムの縮小やオフィス賃料の上昇につながったか
第6章 累計23兆円の社債買い入れはスプレッドの縮小や設備投資につながったか
第7章 プルーデンス政策―地域金融強化のための特別当座預金制度
第8章 金利ある世界で動き出すたんす預金―店舗やATMの立地状況から銀行券の戻りを考える
第9章 金融正常化で日銀に発生する損失のシミュレーションと中央銀行の独立性
著者等紹介
左三川郁子[サミカワイクコ]
日本経済研究センター金融研究室長 兼 首席研究員。1967年生まれ。1990年ロンドン大学SOAS法学部卒業(L.L.B取得)後、日本経済新聞社入社。編集局金融部、経済部を経て97年より日本経済研究センターに出向。在英国日本国大使館専門調査員などを経て、2013年より日本経済研究センター主任研究員、24年より現職。慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得退学。慶應義塾大学経済学部特別招聘教授(2017~18年度)、一橋大学経済研究所准教授(21~20年度)。金融機能強化審査会委員、関税・外国為替等審議会臨時委員、国の債務管理に関する研究会メンバー(いずれも現職)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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