出版社内容情報
フリードマン経済学は終わらない。
巨大な知的影響力の持つに至った経緯を、
経済の変化、経済学の動向、多様な人物群像を織り交ぜて描く。
■マネタリズム、恒常所得仮説、自然失業率仮説、変動相場制、負の所得税、教育バウチャー、徴兵制の廃止……フリードマンの斬新で広範に及ぶアイデアは、発表当初こそ主流派から異端視されたものの、やがてニューケインジアンたちにも受け入れられるようになった。「フリードマンは死んだ」と言われるが、その知的遺産は現代世界に生き続けている。
■下巻は、1960年代から晩年までの後半生を描く。フリードマンは1962年に『資本主義と自由』を、1963年にアンナ・シュウォーツとの共著『合衆国金融史』を発表し、経済学者としての世界的名声を確立すると同時に、新保守主義の理論的支柱となり、英サッチャー首相や米レーガン大統領ら政治家との関わりを深めていく。
■また、ポール・サミュエルソンらケインズ派やFRB議長となったアーサー・バーンズとの対立、バーンズの後任となったボルカーFRB議長との複雑な関係、および、世界的影響力の頂点にあった時期の功績と、21世紀以降に強まったフリードマンへの批判を描く。
■さらに統治や倫理、正義に関わる問題を注視し続けた政治経済学者としてのフリードマンの知的貢献の意義を明らかにする。
【著者のことば】
「フリードマンはあまりに根本的な思想家であり、脇に遠ざけることはできない。彼は財政革命からブレトンウッズ体制崩壊まで現代世界の創造の場面に立ち会った。彼の理論と著作は新しい道を切り開こうとする人々にとっての護符だった。彼は重要な局面で、事態の展開やその後の可能性に影響を及ぼした。我々はネオリベラリズムの終焉に、あるいは市場の時代の出口にいる、というのがはやり言葉だ。しかし、彼の思想は、我々がいるこの瞬間を深く形づくっており、意のままに捨て去ることはできない。フリードマンの経済学は終わったと宣言しても、実現しない」(本文より)
【目次】
第IV部 ある保守主義者の良心
第9章 政治経済学者
第10章 フィリップス曲線
第V部 大インフレ
第11章 インフレを助長するFed
第12章 サンチアゴでの6日間
第13章 マネーこそ重要だ
第14章 ボルカー・ショック
第VI部 マネタリズムの時代
第15章 幸運な二人
エピローグ ヘリコプター・マネー



