内容説明
原文を損なわない「加筆版」でよみがえる明治民衆の息づかいその迫真のリアリティ。
著者等紹介
大伴茫人[オオトモノボウジン]
本名・田村秀行。著述家、日本語講師。1952年、東京都に生まれる。京都大学文学部を卒業後、大手予備校の講師を経て独立。フリーランスの講師として、現代文・古文・漢文を教えるとともに、古典文学の楽しさを現代に伝えるための著作活動を精力的に続けている
樋口一葉[ヒグチイチヨウ]
本名・樋口奈津。なつ、夏子とも呼ばれる。1872(明治5)年~1896(明治29)年。明治の下層社会を描いた秀作を多く発表し文壇から絶賛されるが、二十五歳で肺結核により死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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れなち
6
「加筆」の違和感のなさにまずびっくり。樋口一葉の時代の小説は、現代語と古文の間のような感じで、一語一語の意味はわかっても省略が多すぎてもやっとした理解になってしまいがちだけど、「加筆」が自転車の補助輪のような役割をして、自力で物語の状況を掴めるようになる。心の中で読み上げるようにゆっくり読み進めると、一葉の文章が非常にリズミカルで心地よいものだと気づく。物語としては、遊女の生き様を書いた『にごりえ』のキレは抜群だし、『大つごもり』や『十三夜』も貧しさの中にほっこりした家族愛があって好き。おすすめです。2021/09/06