出版社内容情報
野口悠紀雄[ノグチ ユキオ]
著・文・その他
内容説明
いまや、他の先進国と比べて、賃金の安い国となった日本。「物価は上がるのに、賃金が上がらない」現状は、私たちの生活をじわじわと追い詰めている。どうすれば、この状況から脱することができるのか?独自のデータ分析によって長期的な賃金停滞の根本原因を明らかにし、日本経済の再活性化のためにいま本当に必要な施策は何かを考える。
目次
はじめに 毎日、勤勉に働いているのに賃金が上がらない
第1章 シリコンバレーの技術者は年収1億円
第2章 これでいいのか日本いまや韓国より低賃金
第3章 賃金を決めるのは、企業の「稼ぐ力」
第4章 あなたの給料は、日本人の平均より高いか?
第5章 賃金格差はなぜ生じるのか?
第6章 物価は上がるが賃金は上がらない
第7章 どうすれば日本人の賃金を上げられるか?
あとがき 人の生くるは、パンのみによるにあらず
著者等紹介
野口悠紀雄[ノグチユキオ]
一橋大学名誉教授。1940年生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年イェール大学Ph.D.取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを歴任。専門はファイナンス理論、日本経済論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きみたけ
63
著者は元大蔵省官僚で一橋大学名誉教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授の野口悠紀雄先生。他の先進国と比べて賃金の安い国となってしまった日本について、独自のデータ分析によって長期的な賃金停滞の根本原因を明らかにし、日本経済の再活性化のためにいま本当に必要な施策は何かを考察した一冊。日本の失敗は円安という麻薬に頼ったこと。産業構造の改革という「手術」が必要だったにもかかわらず、円安と賃金固定という「麻薬」に頼って古いままの体制を温存したのがそもそもの原因。こういう方が日銀総裁になると変わるのかな。。2023/02/04
ヒデキ
50
未だに上がらない日本の賃金 粗利を稼げない今の企業が、この状態を齎したと思います。 サービスを上げて付加価値を価格に転嫁していくのではなく 個人の努力でついた価値?を飲み込んでさらに価格を下げるために使ってきたというかそれを要求してきた社会が、齎していたのでは、ないでしょうか 2022/12/07
Francis
17
「1940年体制」を唱えた事で知られる野口悠紀雄先生のご著書。ある勉強会の課題本だったので読んだ。野口先生は本当に優れた経済学者である。日本人の賃金を上げるにはまず企業の生産性を上げる事である、と言う議論は経済学の王道の理論。ではどうして日本はその王道理論が通らない経済社会になっているのか、どうしたら王道理論が通る経済社会になるのか、を論じている。この本の論旨が分からない人の比率が日本は他の先進諸国よりも高いのではないか、と思う。Xでデービッド・アトキンソンさんが延々と議論を続けている訳です(^^;2023/08/20
ようへい
17
もっと給料が欲しいか!ならばくれてやる!といったって先立つものがいる。それは利益、もっといえば粗利益(売上-売上原価、付加価値ともいう)がないと払いたくても払えない。この粗利益から人件費を含む販管費を引いたものが営業利益。で、粗利益のうち人件費に振り分けた割合を労働分配率。また、粗利益を従業員の人数で割った一人当たりの付加価値が労働生産性。山分けするにもお宝がない。もっと給料が欲しいか!ならばもっと稼いで来い!ていうか、だったらお前が稼げるビジネスをしろ!というという痴話喧嘩をしている間に日本は滅ぶ。2022/12/16
まゆまゆ
16
日本の賃金が20年間上がらないのは、企業に稼ぐ力がないことであるを指摘する内容。稼ぐ力とは付加価値のことで、従業員一人が生み出す付加価値を生産性と呼ぶ。年功序列や非正規雇用の多さなど日本独特の制度によって生産性は停滞し続けている。企業規模によっても大きく差が出ていて、結局巨大資本企業と巨額の取引ができる企業でないと賃金を上げられない。そうなるための新しい付加価値とは何なのだろうか……2022/11/24