出版社内容情報
戦略的コミュニケーションは、言語、行動(あるいは非行動)、イメージやシンボルを用いて、自分の政策目標の達成の助力になるように、相手の行動や態度を変更させることを目的とした外交・安全保障政策の実施を指す。情報通信技術の進展に伴い、外交・安全保障も政治社会におけるコミュニケーションとその影響をよく理解し、変化に適応する必要がある。 本書は戦略的コミュニケーションの機能を以下の3つの側面から解説する。
①自らの外交・安保政策と、その根底にある価値観を説明し、政策実施に適した国際環境を形作る
②敵対者による偽情報や、情報操作による扇動や社会の分断の試みに対する防衛
③偽情報などの情報操作からの社会の脆弱性を軽減し、過激化や暴力化を促す思想の伝播に対するレジリエンス(強靭性)の強化
筆者は、戦略的コミュニケーションを体系的に研究してきた日本で唯一の人物。有識者として日本の安全保障関連の議論にも参加し、日本の課題と海外から学ぶべきポイントも熟知している。このテーマについての第一人者による唯一の解説書となる。実力派の政治学者によるユニークな書として注目を浴びると思われる。
本書は、情報化と価値外交の時代の新たな政策課題である戦略的コミュニケーションを、理論的・歴史的、公共政策的視野に基づいて解説する初めての書である。日本の現行の防衛大綱も、「戦略的なコミュニケーション」を新たな防衛の任務として規定し、なおかつこれを防衛の第一の目的、「安全保障環境の創出」と関連付けている。その他の政府文書も、今日の戦争のハイブリッド化やグレーゾーン化に言及している。
本書は政策議論の助力となるよう、学際的に関連分野を概観しつつ、戦略的コミュニケーションの背景、定義・概念を考察し、その歴史的変遷を踏まえ、今日の外交・安保上の要請を明らかにする。英米の事例を紹介するとともに日本の戦略的コミュニケーションの実践と問題点についても分析。安全保証に携わる人間にとっても有益な情報を提供する。
筆者は、戦略的コミュニケーションを体系的に研究してきた日本で唯一の人物。有識者として日本の安全保障関連の議論にも参加し、日本の課題と海外から学ぶべきポイントも熟知している。このテーマについての第一人者による唯一の解説書となる。実力派の政治学者によるユニークな書として注目を浴びると思われる。
内容説明
戦略的コミュニケーションは、情報化と価値外交の時代の新たな政策課題。言語、行動(あるいは非行動)、イメージやシンボルを用いて、自分の政策目標の達成の助力になるように、相手の行動や態度を変更させることを目的とした外交・安全保障政策の実施を指す。情報通信技術の進展に伴い、外交・安全保障も政治社会におけるコミュニケーションとその影響をよく理解し、変化に適応する必要がある。だが残念ながら日本では十分に理解されていない。本書は、戦略的コミュニケーションを、理論的・歴史的、公共政策的視野にもとづいて第一人者が解説する初めての書である。
目次
第1章 戦略的コミュニケーション―戦略の模索と創出
第2章 前史―権力と空間、時間の構築
第3章 構築―ナラティブと国際秩序の構築
第4章 防衛―価値の防衛
第5章 レジリエンス―社会の分断の防止
第6章 実施―原則と制度
著者等紹介
青井千由紀[アオイチユキ]
東京大学公共政策大学院教授。北大西洋条約機構(NATO)戦略的コミュニケーションセンターオブエクセレンス(StratCom COE)公式ジャーナルDefence Strategic Communications編集委員。戦略的コミュニケーション教育・研究ユニット(SCERU)ディレクター(欧州連合の支援を受けて東京大学公共政策大学院に発足)。キングス戦略的コミュニケーシヨンンセターアソシエート・フェロー、上智大学外国語学部卒、マサチューセッツ工科大学(MIT)修士(M.S.)、コロンビア大学博士(Ph.D.)。専門は国際政治学、戦争学、安全保障学。国連大学平和とガバナンスプログラム学術研究官、青山学院大学国際政治経済学部教授を経て、2016年より現職。2008-09年、2019年-20年ロンドン大学キングスカレッジ戦争学部客員教授。2018年「安全保障と防衛力に関する懇談会」メンバー。日本語、英語での書籍・論文多数。政府・国際機関、シンクタンク委託研究や諮問活動多数。2002年国際安全保障学会最優秀新人論文賞(旧神谷賞)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。