出版社内容情報
アメリカ追い落としへの秘められた戦略
天安門事件、湾岸戦争、ソ連崩壊を契機に開始された大戦略。
米政権中枢で対中戦略を担う著者が、その本質と全容を徹底解剖する。
■冷戦の終結以降、中国はまず地域レベルでアメリカを追い落とすための大戦略(グランド・ストラテジー)を推し進め、今ではグローバルなレベルで展開している――。これが本書の主張だ、
■中国の覇権戦略は習近平時代に突如、始まったものではない。天安門事件、湾岸戦争、ソ連崩壊という三大イベント後に、中国はアメリカの位置づけを準同盟国から最大の脅威へと変えた。鄧小平時代に構築された対米戦略構想は、阻止戦略から秩序構築戦略、そしてさらに拡張戦略へと次元を高めていき、いまやグローバルな舞台で展開されるようになった。
■本書は中国共産党の戦略構想の歴史、アメリカを追い落とす戦略が軍事、政治、経済にわたって組み立てられ、実行に移されていったロング・ゲームの実態を明らかにし、さらに、世界規模での秩序構築を目指し覇権を奪取しようとする中国の意図を読み解く。
■そして、中国との対決戦略論、中国とのグランド・バーゲン(大取引)論のいずれも、アメリカ国内の制約条件、中国側が抱く長期的な計略を軽視しているとして退け、アメリカは中国に対し物量で正面から対抗するよりも、相手の弱みを鋭く突く非対称的な競争戦略を進めるべきだと説く。
■著者は、有力シンクタンクのブルッキングス研究所で中国戦略研究プロジェクトを立ち上げ、現在、バイデン政権の国家安全保障会議で中国・台湾を担当、アメリカの対中戦略の中枢を担う逸材。本書は圧倒的な密度と網羅性をもつ徹底した公開情報の調査をもとに執筆された。中国の大戦略を歴史的なプロセスをもとに説き明かす決定版。
内容説明
天安門事件、湾岸戦争、ソ連崩壊を契機に開始された大戦略。米政権中枢で対中戦略を担う著者が、その本質と全容を徹底解剖。
目次
第1部 「能力を隠して好機を待つ」(韜光養晦)中国による追い落とし戦略の第一段階:阻止(1989‐2008年)(「新冷戦が始まった」三大イベントと新たなアメリカからの脅威;「暗殺者の鑓矛を握る」軍事面での阻止の実行;「本心を隠して穏やかに接する」政治面での阻止の実行;「恒久的通常貿易関係」経済面での阻止の実行)
第2部 「なすべきことを積極的になす」(積極有所作為)中国による追い落とし戦略の第二段階:構築(2009‐2016年)(「パワー・バランスの変化」金融危機と構築戦略の幕開け;「より攻撃的な手を打て」軍事面での構築の実行;「地域の枠組みを確立する」政治面での構築の実行;「我々の開発列車にようこそ」経済面での構築の実行)
第3部 「100年に一度の大変動」(百年未有之大変局)中国による追い落とし戦略の第三段階:グローバルな拡張(2017年以降)(「世界の中央ステージに向けて」アメリカの衰退と中国のグローバルな野心;「堂々と立って遠くを望む」中国のグローバルな拡張の方法と手段;中国との競争に向けたアメリカの非対称戦略)
著者等紹介
ドーシ,ラッシュ[ドーシ,ラッシュ] [Doshi,Rush]
バイデン政権国家安全保障会議(NSC)。中国・台湾担当副上級部長。ハーバード大学で博士号(政治学・行政学)を取得。米ブルッキングス研究所で中国の大戦略(グランド・ストラテジー)を分析する中国戦略イニシアティブ・ディレクターを務める。本書は政権入りの前に、同研究所在籍中に執筆した(刊行は政権発足後の2021年7月)。イェール大学法科大学院中国センター、シンクタンクの新アメリカ安全保障センターでの研究員の経験もある。中国語(北京語)に堪能
村井浩紀[ムライコウキ]
日本経済研究センター・エグゼクティブ・フェロー。1984年に日本経済新聞社入社。ヒューストン、ニューヨーク、ロンドンに駐在。経済解説部長などを経て2018年から現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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