出版社内容情報
組織デザインへの応用が期待される理論を体系的に解析したA章、それを用いて日本企業への事例研究を行ったB章という立体的な構成となっており、理論と実業をつなぐ、画期的な専門書が誕生しました。経済学の専門知識と現実の企業組織についての実務的知見の両方を備えた著者ならではの精緻で明晰な分析。組織の研究者や企業の経営企画、コンサルタントの方におすすめです。
ヒロ・ニイハラは実際のビジネスケースを組織の経済学の観点から解釈するワールドリーダーである。 彼の分析結果をぜひ翻訳で読んでみたい。
――ロバート・ギボンズ(MIT経済学部教授兼スローン経営大学院特別教授)
組織の経済学の長年の同志が最先端の理論を
統一的視座で整理し現場組織のカオスに切り込む書。
――伊藤秀史(早稲田大学大学院経営管理研究科教授)
アカデミックな科学性を持って現代の経営を語るには、先端的な経済学の言語領域が必要であり、本書によって、我が国の経営リーダーたちが経営面の経済学のリテラシーを世界並みに高めることを期待している。組織の経済、組織の能力の壁が長年の日本企業不振の真因であり、組織の経済学は、私にとっても最近の経営論における最関心事項である。本書を経営者、ビジネスパースンにこそ読んでもらいたい。
――冨山和彦(経営共創基盤CEO)
内容説明
本書刊行の第一の目的は、世界中の多くの研究者によりバラバラに分散的に行われている組織の経済学の研究について、その全体像と各論を統一的な視点・モデルを用いて説明し、本分野の理論の研究者やユーザーに対して、それぞれの理論の異同、より具体的には、ロジックや前提、インプリケーションの相違を可能な限り厳密に明らかにし、理論の発展や企業分析現場における応用に貢献することである。第二の目的は、そのように、統一的な視点で、見通し良く整理した最先端の切れ味鋭い理論を用いて、実際の複雑な組織の現象、なかんずく日本企業の組織の説明・評価を試みることである。
目次
イントロダクション
組織の経済学の構成
企業の境界論
企業の境界論の実証研究
なぜ液晶テレビ産業は失敗したのか―シャープを中心とした企業の境界分析
所有権理論の数理モデル
イノベーションと組織の経済学
ソニー・プレイステーションの開発組織の変容―非統合・後方への垂直統合の効果
不連続なイノベーションを管理する組織
関係的契約と組織の経済学〔ほか〕
著者等紹介
新原浩朗[ニイハラヒロアキ]
1959年福岡市生まれ。本業の実務面では、1984年旧通商産業省入省。産業組織課長、首相秘書官、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長、内閣府政策統括官(経済財政運営担当)(2016‐2018)、経済産業省経済産業政策局長(2018‐2021)などを経て、2021年から内閣審議官。この間、コーポレートガバナンス改革、再生可能エネルギー導入策、政府全体の仕事で、成長戦略、働き方改革、幼児教育無償化、キャッシュレス化、新しい資本主義などを担当。経済学面では、1984年東京大学経済学部卒業。米国ミシガン大学大学院経済学博士課程留学。米国ハーバード大学経済学部客員研究員。一橋大学大学院商学研究科(MBAコース)において職業人に対する、東京大学大学院経済学研究科において大学院生に対する、組織の経済学・組織行動の講義を担当。主著『日本の優秀企業研究』(日本経済新聞社。第4回日経BPBizTech図書賞受賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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