出版社内容情報
「京」以来8年半ぶりにスパコン世界一の座に就いた「富岳」。「京」の 100倍に達する性能でスパコン4冠に輝いたその軌跡を追う。?
注目されるようになったきっかけが2009年の事業仕分けにおける「2位 じゃだめなんでしょうか」だった。そこから11年、日本のスパコンの成功と蹉 跌を振り替える。また、未来のコンピューターとして急速に開発が進む量子 コンピューターについてもその実力と将来を見ていく。
内容説明
コロナで脚光。「2位じゃだめなんでしょうか」から12年、呪縛は解けたのか。
目次
第1章 コロナ禍の「秘密兵器」、富岳登場
第2章 「2位じゃだめなんでしょうか」が残したもの
第3章 富岳、世界初「スパコン4冠」への軌跡
開発者インタビュー
第4章 省電力スパコンで世界一、ベンチャー2社の明暗
第5章 量子コンピューターの衝撃
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
197
「富岳」ベンチマーク4冠おめでとう御座いますヾ(๑⃙⃘´ꇴ`๑⃙⃘)ノ。今では一人歩きしてる節のある「2位じゃダメなんですか?」発言。実は足元を見直す切っ掛けとなったのは、成る程です。邪推すると、政治家の方にも幾分忖度している意見と受け取れなくも無いけど。経済的メリットも勘案して一枚岩で行きたいですね。事業仕分けで前身の「京」が開発中止判定された事は悲しみ、怒り、憤りました。でもこの結果に50%を超える方々が賛成して居たのですね。驚くと共にまた悲しくなりましたよ。色々学び大きな本書、書きたい事あり過ぎて。2021/11/25
Jun Sasaki
22
世界一を奪還した「富岳」の開発裏話を始めとする、スパコン開発のあれこれ。蓮舫の「二位じゃダメなんでしょうか?」という呪縛が今でも効いているという話がハイライト。別に性能世界一を目指さない、というわけではない。速いだけではなく、多くの人に使ってもらいやすい設計にも気を使っている様子を知れたのは収穫。コロナ対策の飛沫飛散シミュレーションで世に知られるようになったのも、偶然ではあるまい。2021/04/27
チャー
15
スーパーコンピューター富岳の開発について紹介した本。世界のランキングで1位を取った富岳であるが、CPUの内部設計から国産で行っていることや、アーキテクチャがArmベースであることは初めて知った。一方で他の競合では汎用サーバー用CPUやGPUが使用されていたことも興味深い。1位では無ければダメなのかという問いに対する一つの回答として、他の真似ではなく新たな道を切り開く技術の成長という視点は大変力強い。一方で汎用性を考えるときには、確かに先端を追求しすぎて使い難くなるシステムでは良くないのだろうと感じた。2021/11/06
スプリント
14
きちんと国としても支援して国産技術の維持向上に努めてほしい。2023/09/15
紫の煙
11
我が国の経済停滞を書いた本を読んだばかりなので、日本には富岳があると嬉しくなった。とは言っても、米中との競争は激しい。量子コンピューターを巡る戦いも始まっている。あの、蓮舫の発言が影響を及ぼしていたとは。2021/08/13