内容説明
仙台の銀行に勤める女性が自殺する。月刊言論構想記者の池内は、かつての恋人が死を選んだ理由を探るうち、金融業界の末期的状況、さらにこの国の財政が直面する未曾有の危機を知る。そんな中、日銀内の不倫スキャンダル報道が、池内、メディア、金融業界、さらに政界をも巻き込んでいく。
著者等紹介
相場英雄[アイバヒデオ]
1967年新潟県生まれ。1989年に時事通信社に入社。95年から日銀記者クラブで為替、金利、デリバティブなどを担当。その後兜記者クラブ(東京証券取引所)で市況や外資系金融機関を取材。2005年『デフォルト“債務不履行”』で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、翌年から執筆活動に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
290
相場 英雄は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、日銀厭政治経済小説でした。日本経済のExit(出口)は、ありません。 著者曰く、日本の財政は、「収入がないのに、ホストに入れ揚げた挙句、借金してまで貢いでいる」女状態とのことです(驚) https://www.nikkeibp.co.jp/atclpubmkt/book/21/281730/2021/02/27
しんたろー
202
月刊誌記者・池内が自殺した元恋人の事情を調べると、債務による日本の窮状、中小企業や地方銀行の惨状、日本の「闇」が見えてくる・・・前半は経済に不案内な池内と一緒に学べるような内容(例え話が巧い)で、不勉強な経済の仕組みが少しは理解できた。そして「ノーイグジット」と言われる日本の現状を知り愕然とした!全てが事実ではないにしろ「無関心ではいけない」と危機感を持たされ、現実の企業、政治家、コロナ渦まで織り交ぜたノンフィクション風の小説なのでリアルに恐ろしい。娯楽作的な爽快感はないが、日本人として一読の価値はある。2021/03/22
utinopoti27
179
2014年10月、それは我が国が「究極の禁じ手」に踏み込んだ入り口だった。野放図に膨れ上がる日本の借金は、今や国民一人当たり1千万円にも及ぶ。株は上がり続けるのに、いっこうに好景気を実感できない現実。何かがおかしいのではないか・・。本書は、経済雑誌の若手記者が、謎めいた金融コンサルタントとの出会いを通して知る、日本経済の闇をテーマにした物語だ。政府は日銀をいかにして支配下に置いたのか。アベノミクスとは何だったのか。先送りされ続ける膨大な負債、歪み切った政策ファイナンスの実態を暴き出す、震撼必至の問題作。2021/09/19
修一朗
150
不発弾の続編てことだけども東芝のことばっかりで古賀さんは頭に残ってなかった。今度は企業じゃなくて日銀と財政危機のお話。中小企業金融円滑化法なる時限爆弾のような法律については初めて知った。地方銀行はまさに今が正念場だ。金融緩和を今すぐやめて地方銀行を救うことが日本救済の唯一の道という考えは正直やや強引だ。産業を興してお金が回っていく社会を創っていくことが先だと思う。印象的なのは磯田副総理。こんなにあの人をヒーロー扱いして持ち上げた本は初めて。人情に篤くてドスが効いて任侠な親分だ。かっこいいねぇ。2021/07/16
ヒデキ
103
日本の経済、いや、我々の生活を支える日銀政策をめぐる、政治とマスコミのバトルを描く作品です。 個人的には、どっちも虚業だと思っていますし、 マスコミの正義なんて、全然信じてはいませんが、 我々の生活と子どもたちの未来がどうなっていくのだろうと思って読んでいました。 2021/11/18