出版社内容情報
資本主義によって世界経済は驚異的に成長し、豊かになった。しかし、同時に資本主義システムは、格差や不平等、気候変動、環境悪化、社会的排除など様々な弊害を生み出し、近年それらは悪化の一途をたどり、大きな批判を受けている。資本主義が抱えているこれらの深刻な問題をどのように解決すればいいのか。どうすれば資本主義を望ましい形に修正できるのか。オックスフォード大学教授で世界的経済学者のコリン・メイヤーは、本書でその答えを出した。
メイヤー教授は、ビジネスの目的(パーパス)とは何か、利益とは何かを問う。
利益は進歩を促し、進歩は繁栄を生み出すが、一方で深刻な問題を引き起こす。なぜなら、利益は、他者や社会の問題や課題を解決することよってもたらされるが、他者や環境、社会などを犠牲にしても得ることができるからだ。
ビジネスの目的(パーパス)は、人々と地球の問題に対する有益な解決策を生み出すことであるべきで、問題を生み出すことではない。つまり、企業は、問題を生み出して利益を得るべきではない。企業はお金を追い求めるのではなく、問題の解決策を追い求めるべきであり、それを実現するためには、資本主義システムの様々な部分に、「道徳律(他者がしてほしいと望むことを、他者にする)」を根づかせていく必要がある、とメイヤー教授は主張する。この主張は単なる理想論ではない。企業経営、コーポレートガバナンス、法律、会計、金融などにどうやって「道徳律」を組み込んでいけるのか。具体例を交えて、本書でそのフレームワークを明確に提示する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chiro
3
資本主義は様々にかたを変えて来ている。最近までは株主資本主義が主流でこれにより格差拡大と環境破壊が増進したが著者はそうした動きに警鐘を鳴らし、全く異なる資本主義を提唱して再興を図るべく提言している。この提唱は歓迎すべきものであり、我が国こそこのアプローチを進めて欲しいと感じた。2025/06/10
がんこおやじ
2
内容は悪くないと思うが、同じ事を何度も主張しているように思える。翻訳はとてもこなれているが、原文に問題があるのだろう。パーパスの重要性は分かるが、それがなぜ強い規範のように書かれているのかが分からない。今よく言われているパーパスとは意味が違う気がするが。はっきりとは分からない。2025/05/06
Go Extreme
1
市場と政府の限界: 企業の役割と政府の期待 機能不全の理由ー市場・政府・規制・人間の失敗 規制: 規制の複雑性 規制の国際性ー規制のアービトラージ 政治的影響力ー規制を回避→政治的影響力や財力利用 企業のパーパスと利益: 利益ー問題解決を通じて利益を上げる パーパスー他者の問題解決→利益を 利益の源泉ー社会全体の利益に寄与 現代資本主義: 現在システムの問題ー利益追求が最優先→他者を犠牲 企業の道徳的責任 新たなパーパスの必要性 企業と政府の関係: 目的一致→協力関係→社会全体の問題解決 公共政策の役割2025/01/29