出版社内容情報
対中半導体輸出規制など、ますます進む「経済の武器化」の行方は?
本書が明らかにしているのは、国際社会における「パワー」とは、単に軍事力や経済力といった目に見えるものだけでなく、通信ネットワークを管理する力、規制を他国に押し付ける力、通貨をコントロールする力である。こうした目に見えない権力は、ともすれば見落とされがちだが、本書は、そうした目に見えない力こそが地政学・地経学的なパワーとなっていることを余すところなく示している。グローバルな文脈では、米中対立が取りざたされ、中国の追い上げによって米国の圧倒的な軍事力や経済力が失われつつあるが、それでもなお米国がグローバルな超大国として君臨し続けられるのはなぜなのか、ということを本書はつまびらかにしている。その意味で、本書は、現代における米国の地経学的パワーを再確認し、それを高く評価しつつ、そのパワーを永続的に発揮するための国際秩序のあり方を示している。(日本語版解説「『武器化した経済』での戦いの勝者は誰か?」より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
32
現代における米国の地経学的パワーを再確認し、それを高く評価しつつそのパワーを永続的に発揮するための国際秩序のあり方を示す一冊。単に軍事力や経済力といった目に見えるものだけでなく、通信ネットワークを管理する力、規制を他国に押し付ける力、通貨をコントロールする力が地政学・地経学的なパワーとなっていったこと、米中対立が取りざたされ、中国の追い上げによって米国の圧倒的な軍事力や経済力が失われつつある中、それでもなお米国がグローバルな超大国として君臨し続ける現状を踏まえて今後を考える必要性を説く興味深い一冊でした。2024/04/03
Yuki2018
10
非常に面白い一冊。米国の地位は、経済力や軍事力において相対的に低下しているが、通信ネットワークの結節点や先端技術の知財を押さえ、また米ドルが基軸通貨であることや決済システムに支配力を発揮できることにより、依然として超大国であり続けている。逆に、通信や決済制度における米国の支配力が弱まると、米国中心の国際秩序はますます混乱し、真の意味で多極化・無極化を招くだろう。米国はこの支配力を死守すべく華為を追い出したりしているが、半導体や決済システムを巡る覇権争いをみると、必ずしも盤石とは言えないように思える。2024/08/10
ceskepivo
6
米国が作った地下帝国。世界経済を武器として使い、世界に多大な影響力を及ぼしてる存在だ。鈴木一人氏の解説も秀逸。日本は、ルールに基づく国際秩序の看板を下ろすことなく、米国とは異なる立場を取りながらも、米国の関与を恐れることなく前に進むことが重要。2024/07/17
くすりん
4
中々文体が合わず、はんぶんくらいで断念。分かったことは、インターネットが通信の最大のテクノロジーであり、それを抑えたアメリカにより通過の取引も全てアメリカに抑えられている。という事。そして、そんなインフラがある所にしか次のテクノロジーも育たない。GAFAはその恩恵を十分に受けたと言えそう。つまり、日本ではそんな規模の企業は出てこないのも必然ではないだろうか。むしろ徹底した製造業に活路を見出すべきなのでは?とか思った次第。2024/12/16
ゼロ投資大学
3
現代において、アメリカは武力行使よりも経済を武器に他国に交渉を仕掛けている。グローバル化が進み世界中で人・物・情報の移動が頻繁になって、経済がより重要なファクターとなった。アメリカは国際決済システムや半導体製造技術など覇権国家の特権を活用しながら、国際交渉でプレゼンスを高めようとしている。2024/06/21