内容説明
建物の声を聞く、「弘道館」、文化財の価値をひらく、二条城「寛永行幸」、「文道」をつなぐ、北野天満宮「曲水の宴」、史料から興す下鴨神社「糺勧進能」、作り手になってみる京菓子展「手のひらの自然」…ほか、伝統文化にこめられた美と知恵。
目次
序章 京都に生きる
第1章 なぜ、いま伝統文化なのか
第2章 茶室にはあらゆる伝統がつまっている
第3章 伝統文化をプロデュースする
第4章 伝統文化から得られること
第5章 伝統の灯を絶やさないために
著者等紹介
濱崎加奈子[ハマサキカナコ]
神戸市出身。大学時代より京都に住み、伝統行事の再興や建造物の保存等、文化の継承に関わる数々の現場に携わる。京都大学文学部(美学美術史学)卒業。東京大学大学院(表象文化論)博士課程修了。学術博士。公益財団法人有斐斎弘道館の代表理事兼館長であり、伝統文化プロデュース連を主宰。また、京都府立文学部准教授、京阪ホールディングス社外取締役、北野天満宮和歌撰者、京都観光おもてなし大使でもある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白河清風
21
神戸出身で京大文学部に進み、京都の伝統文化に魅せられながらも同時に失われつつある京都文化に危機感も感じて活動する濱崎加奈子氏のお話です。江戸時代の儒者皆川淇園の学問所だった弘道館の再興活動、平安時代の宴や行事の再興、京菓子の魅力を伝えるプロジェクトなどにも加わっています。京都は様々な新しい生活様式や文化活動、産業も育っており、過去の歴史を昔のままに守るだけでなく、現代や未来へ向けて新旧をどのように融合させていくのかという難しい課題を抱えていると思います。大変な活動ですが、今後の活躍に期待したいと思います。2023/01/07
earlybird_kyoto
6
著者は江戸時代中期の儒者・皆川淇園の学問所だった「弘道館」の保存・活用に取り組まれているのですが、伝統文化等の継承の必要性と難しさがよくわかります。私の家でも築100年ぐらいの町屋を所有していますが、今では空き家同然で、何とかしようと思っても京都市は財政難で補助金枠が少なく、申請しても数年待ちだと言われています。売ってしまえばすぐにマンション等に建て替えられて元の町並みは消えていく一方…。「歴史を知ることは、未来をいきること。伝統に学ぶことは、未来を作ること。」何か貢献できないかと、模索する日々です。2022/05/14
hdk
3
京都・日本の伝統、茶道、華道、香道、能楽、古典を次の世代に繋いでいこうという筆者の覚悟とバイタリティに深く敬意を抱く。コロナも前向きに捉え率先し工夫を凝らして事業をつづけるかたちをつくりあげた。神域での下鴨神社糺能の描写も是非見てみたいと思わせてくれた。濱崎さんの拠点、有斐斎弘道館にも是非行ってみたい。2021/12/09
お抹茶
2
京都の文化を紹介する本かと思ったが,茶道や能楽など文化財を継承・再興する大切さと工夫を熱く記す。茶室には,掛け物や焼き物,着物,林業や農業など職人の技術が結集されていて,日本の伝統技術を俯瞰することができ,伝統文化の入口としても茶道は最適。文化財を伝えていくためには,展示するだけではなく使いながら守っていく観点が重要と書いてあって,著者の活動でも実践している。茶道にしろ能楽にしろ,踏み込むのは少し勇気があるが,一遍入ればどこまでも深い世界で楽しむが続くのかも。京都でイベントを始める苦労はひとかたならぬ。2023/01/20
ぼちぼちいこか
2
京都に魅せられた「よそさん」の筆者が、京都文化・伝統を中心にヨコの繋がりなども経ながら、考察した良書です。 内容は奥深いですが、文章は飾り立て過ぎず、構成もシンプルで読みやすいです。 自分は、普段、京都に縁のない暮らしをしていますが、どういうものか少し分かった気がして、タイミングみて京都の伝統に触れられる機会を作ってみたいと思いました。 (楽天で購入、同じレビューを載せています)2022/01/07