内容説明
「ゴッホって画家、知ってるでしょ?くたびれた革の靴なんだけど、何か不思議な存在感があるんだなあ。本当にこれとそっくりなんだから」。自分のミスで登山仲間を死なせたと思い悩むホームレスの男を描いた表題作ほか、熟年離婚の道を選ぶ夫婦と故郷の自然の美を描いた「桜 蘂降る」、脳梗塞に倒れリハビリ中の飼い主に寄り添い散歩する愛犬がせつない「えごの花」など六話を収めた短編集。生を全うすること、死を見つめることとは―。介護の現場に身を置く著者ならではの深い洞察。生きることの意味が趣深く描かれる。
著者等紹介
坂本美智子[サカモトミチコ]
1932年、北海道函館市生まれ。現在、東京都在住。現役介護支援専門員(ケアマネジャー)で、NPO団体・日本ケアワーカー協会理事。函館文学学校に通い、「青の時代」に参加。1977年、函館市の市民文芸投稿優秀作品に選出。その後、「井上光晴文学伝習所」で学び、文学学校の有志と同人誌「森林鉄道」を創刊。「文學界」同人誌評欄に取り上げられること多数。1998年、『付添人のうた』で第18回カネボウヒューマンドキュメンタリー大賞優秀賞を受賞し、この作品はTVドラマ化された。また、読売新聞社より同名アンソロジーが刊行される。2004年、第14回ゆきのまち幻想文学賞(東奥日報社主催)準大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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