内容説明
高齢者向けの結婚相談所“サードライフ”で働く保奈美。控えめな母、義理の関係だが優しい父との平凡な家庭に育ち、仕事では女性社長からの信頼も厚く、何の問題も見当たらないはずの彼女を、ときおり「不安」としか言いようのない発作が襲う。保奈美がその正体を探りはじめたとき、平穏な家庭がひた隠しにしてきた哀しい事件が蘇る。
著者等紹介
松村比呂美[マツムラヒロミ]
福岡県出身。2度にわたる「オール讀物推理小説新人賞」最終候補を筆頭に、多数の公募文芸賞で入賞を繰り返す。アンソロジー出版への作品発表、携帯サイトでの小説配信などを経て、「第4回新風舎文庫大賞ミステリー部門賞」受賞作『女たちの殺意』で2005年にデビュー。日本推理作家協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はれひめ
35
「蜜腺」「キリコ〜」に続けて。2007年発行だからなのかイヤミスのような毒は無いが、ありがちなトリックでもよく練られたストーリー。高齢者向けの結婚紹介所のネーミングはサードライフと言い得て妙。美紀の義姉嘉世子は「ナオミとカナコ」の義姉を思い出す執念の言動が逆に滑稽。人は見かけによらない教訓が良い方に転ぶ人達が出てくるので、事件は横に置いても読後感は良好。地元図書館の著作は全3作完読してしまった。寂しい、、、2016/06/16
マサキ@灯れ松明の火
15
控えめな母、優しい義父に愛情深く育てられ、素直で優しい女性に育った「保奈美」…何も問題など無いはずなのに…「保奈美」の心に言いようのない「不安」がよぎる……彼女が、「不安」の正体を探り始めたとき……哀しくも恐ろしい「恐怖の連鎖」が……蘇る……2012/10/10
じぇりい
7
遡っての保奈美家族の関係が少しややこしくて思わず相関図を書こうかなと思ったが、両親の抱える秘密はエピソードを読んで行くうちになんとなくわかった。そんなにうまく行くものなのとツッコミも入れたくなったが、サードライフの会員とのやりとりが保奈美の心情の変化の伏線にもなっていて、こんなラストもありかな。アンソロジーの松村さんを読んでいるので最後どんでんなイヤミスを覚悟してたので少し拍子抜け(笑)2018/06/03
みきみ
7
優しい母と義父と暮らす保奈美。仕事は老人の結婚相談所。幸せな保奈美だがふとした瞬間に不安が押し寄せ、その不安の原因が明らかになる。帯に書かれている内容ではなく、事件はあるものの全体的に優しい雰囲気でラストも穏やかだった。老人の結婚相談所の話が特に爽やかで良かった。2016/04/12
akubita
3
☆☆☆☆ 題名から想像したのとは違う『ふたつの名前』だった。帯の煽り方は好きではない、というか、そういう話ではないと思う。一部しか見えない時とすべてが見えた時の違いが興味深い。2015/11/20
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