出版社内容情報
娯楽がない鎌倉時代、人々に刺激を与えたのは踊り念仏だった。家族も財産もすべてを捨てて阿弥陀仏の導きに従う一遍は、念仏を唱えて日本全国を行脚する。一遍とともに僧達が床板を叩く足音のリズム、次第に加速する念仏、上昇する心拍数を表すかのような鉦の音。時衆が繰り広げる激しいパフォーマンスは、見る者の心を鷲掴みにする。念仏はロックだ! 破天荒かつ繊細な捨聖、一遍の物語。
内容説明
家族も財産もすべてを捨てて阿弥陀仏の導きに従う一遍は、念仏を唱えて日本全国を遊行する。一遍とともに僧達が床板を踏み鳴らす激しいリズム、次第に加速する念仏、上昇する心拍数を表すかのような鉦の音。時衆が繰り広げるパフォーマンスは、見る者の心を鷲掴みにし、娯楽のない鎌倉時代で人々に刺激と喜びを与えていた。南無阿弥陀仏を唱えればわかる、念仏はロックだ!琴線に触れる読経の声に魅了され、一挙一動から目を離せなくなる、まるでロックスターのライブのように各地で人々を熱狂させる、破天荒かつ繊細な捨聖、一遍上人の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
102
すごいな、これ。ロックの一遍上人。白蔵さんが描く歴史上の人物はどれも魅力的だけど、本作の一遍上人がどんな人物だったのか知らなくても分かってくる。ただ、著者のあとがきにあるように史実に基づいたフィクションであり、全てを真に受けないようにと。ええ、判っております。だって、一遍の半生に付き合う主人公は現代から鎌倉時代にタイムスリップした18歳の少年ですから。日本史の教科書と資料集を持ってきたというのが何よりの僥倖。一遍は日本中を踊りで回り南無阿弥陀仏で極楽往生へと。何だか宗派を超えて一遍を好きになっていく物語。2025/01/18
やも
72
あっぶなー💦「踊り念仏がこんなに激しいものだとは知りませんでした」ってレビューに書こうとしてた😱😂白蔵さんを泣かせてしまう所だった😱😂「南無阿弥陀仏」を世の中に広めちゃった一遍上人のライブパフォーマンス。現代語っぽく書かれてるけど、うーん、正直そんなにハマらなかったな💦前に読んだ白蔵さん2冊とはちょっと作風違うカンジしたなぁ〜。やっぱり私はアーティスト要素が入ると醒めちゃうんだな…。2025/02/27
がらくたどん
62
最近になって忠臣蔵アナザーストーリーを読んだ白蔵さん。「歴史小説家でござい」を極限まで排して講談師に徹する語り口が好きな作家さんですが「とにかく名の知れた人物や事件を書こう~息切れしてしまった」そんな時に心にしまっていたアイデアが「一遍の小説なんて、マイナーすぎて絶対売れない」「知ったこっちゃありません」「本当に楽しかった」なんじゃこの煩悩満載強がり感、なんか往年のロックだぜ!というわけでジャケ買いならぬ完全な「あとがき」買いです♪一編上人、踊念仏の一大聖なのでそんなにマイナーじゃないけど(笑)南無阿弥陀2024/12/24
森林・米・畑
52
鎌倉時代にタイムスリップした高校生ヒロが、たまたま遊行中の一遍上人に出会うお話。読友さんのオススメであり、書店で見た表紙に「これは読まなアカン」てな勢いでした。少ない史実と作家の想像の世界に入り込んでしまった。きっと一遍上人、時衆の人たちは踊り念仏を広めながらこんな遊行旅してたのかな?想像を膨らませながら楽しめた作品でした。南無阿弥陀仏。2025/03/24
saga
50
著者の、歴史上の人物や事件を脇役的な視点で描く歴史小説が面白い。だが、本作は現代からタイムスリップしてしまった18歳の少年が、踊念仏と一遍上人に魅せられ、時衆の一人として一遍と遊行の旅を続ける紀行文として描かれた。その描き方も斬新だ。音楽好きの著者を仮託したヒロが、自分の言葉で一遍の生涯を書き綴る。ステージ(舞台)、ライブツアー(遊行)、レーベル(宗派)などなど、例え方が面白い。愛別離苦、怨憎会苦なんて仏教説話も入っていて、仏教の基本の学びにもなっていた。ためになるな~2025/04/12