出版社内容情報
戦後、占領軍と日本人女性との間に生まれた子どもを養育してきたエリザベス・サンダース・ホーム出身の6人のハーフが、日本で約60年ぶりに集まった。ジャーナリスト、WHO職員、弁護士、新興宗教の僧侶、ブラジルの農園主夫人、そして日本の裏社会の顔役の6人である。彼らの目的はひとつ、排外主義・民族主義を掲げ、次期総理候補と目される二世議員・河崎晋之介への復讐だった。
内容説明
戦後、占領軍将兵と日本人女性との間に生まれた子供を育てたエリザベス・サンダース・ホーム。この施設出身の6人のハーフが、新型コロナウイルスが猛威をふるう日本に55年ぶりに集まった。日本を離れアメリカに渡った4人は、著名なジャーナリスト、『国境なき医師団』として知られる医師、日米で活躍する弁護士、新興宗教の僧侶となっていた。一人はアマゾンの農園主の妻となり、もう一人は日本に残りライブ演奏のベース奏者となった。彼らの目的はひとつ、排外主義・民族主義を掲げ、次期総理候補と目される二世議員・河崎晋之介への復讐だった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
禅
23
戦後間もないハーフは蔑まされた存在だった。人種差別していた人間が今では国会議員。こんな奴はいないだろうと思うが犯罪の総合商社と言わせるほど悪事を働いていた。昔受けた恨み辛みを晴らすべく悪者たちを炙り出す。ラストは胸がすく思いだった。2024/01/17
鈴木拓
19
優越感と差別心、そうした感情を胸に抱えながら人間は生きているのだろうか。ただ、その感情を隠すことなくさらけ出す人間と、そのことを恥じて隠している人間がいるだけなのだろうか。差別される者は、別のものを差別し、その連鎖が互いを傷つけあい、時には取り返しのつかない出来事へと発展してしまう。すべての日本人が自らのこととして考えなければ不幸は続く。読了して、自分を顧みて、日本のニュースを眺め、世界の出来事を読みながら、この問題はまだ何一つ終わっていないのだろうなと感じた。2024/11/27
QUiChe
7
1年以上かけてやっと読み終えた。冒頭は引き込まれるような事件の描写だが、その後は政治の話がしばらく続き、読み進めることが苦になったが、中盤からはほぼ一気読み。読み応えのある一冊でした。移植ツーリズムの問題にも触れ、興味を持ちました。 これだけの役者、立場や権威を持った人が集まってようやく制裁を実現できる。権力を持つ政治家を成敗する事の難しさを痛感した。2024/07/29
鈴木 千春
5
Kindle版 エリザベスサンダーホームの話はどこかに記憶がある。 が、もちろんベースにした物語だろうと読み進めた。 人の必然的な運命を思った。 そこから、日本の政治腐敗や硬直した社会構造に物語の展開がおよんでいるのが素晴しい。 一気読みでした。 現実にここまで腐っているとは思いたくないが、なんだかありそうです。(上手に現実感にもっていく) ただ、現実は、こんなに上手くハッピーエンドにはならない! これが、日本の現状です(哀)2024/06/20
おしょも
4
横須賀に住んでいるが、その時代を知らずに生きてきた身としては、なかなかキツい思いをしながら読了。力のこもった一作。2023/04/23