出版社内容情報
ただ、儲けたいのではない。民にも喜んでもらいたいのだ――そんな想いを胸に、ご法度だと知りつつ「青白塩」を扱うと決めた杜宇俊。宋朝の財政の仕組みを根本的に揺るがす恐れのあるその塩で商いをする、彼が選んだその道に未来はあるのか。塩がもたらす人とのつながり。その血は現代へと流れゆく。11世紀中国の西夏を舞台にした悠久の歴史ロマン。
内容説明
舟運業を営む家に育ち、幼い頃から非凡な才能を発揮していた杜宇俊だったが、目標としていた科挙の試験に落ちてしまう。そんな時、西夏との交易を行なう〓場(かくじよう)に行く機会を得る。そこで出会ったのが、幼き許徹元と「青白塩」だった。そして、商人たちの生き生きとした姿に、学問を深めるより人間相手の商売のほうが向いていると考えるようになる。時を経て、家業を継いでいた宇俊は16歳になった徹元と再会する―。西夏と宋朝との戦いや利権争いなど、複雑に絡み合う現実を前に、人々はどう生きるのか。悠久の歴史の中で語られる塩をめぐる物語。
目次
青白塩の地 烏池
〓場のにぎわい
故郷 臨汾
官僚三人衆
汾河の船着場
解池の塩作り
西夏の王 李元昊
烏池に流れ着いた者たち
老婆の話
蒲州の塩商人
皇帝 李元昊
西夏文字と陵
好水川の戦い
講和のあと
塩梟 王雲嵐
西夏の都 興慶
范祥の塩政改革
賀蘭山 暗殺計画
上海―遠き日の西夏
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BATTARIA
7
これが初レビューとは寂しいが、モンゴルや女真に比べて知名度が低い西夏だからか?物語としてはよくできているだけに、もう少し長編にできそうなものなのに、西夏だとそうもいかないのか?塩が国の専売で統制というあり得ないことが、かつて日本でもあり、その時代を知っていることが、むしろ幸せに思える。ナトリウムのプラスイオン用と塩素のマイナスイオン用の膜を交互に張って、電流流して塩を作るイオン交換膜法を理解できたのは大収穫。本当に必要なのは、塩じゃなくてナトリウムだけど、塩化ナトリウムより低コストな手段はないのかねえ?2023/12/05