内容説明
小学3年で発症、中学1年で再発、高校1年で再々発したT細胞型急性リンパ性白血病。受け入れがたち運命に怒りを覚えながらも、17歳の少年はフェルマーの最終定理を証明した数学者アンドリュー・ワイルズの不屈の精神に共鳴し、「ワイルズ」の名で闘病の日々を綴った。死とはどういうことなのか―。生身の思いを言葉にし、多くの反響を呼んだ『ワイルズの闘病記』を改題・改訂し、文庫化。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
本屋びと
32
18歳の誕生日を待たずしてあの世に旅立った男子高校生の白血病闘病記。病状も、治療法も、生活も、その時の精神状態も、ここまで詳細な記録……初めてでした。衝撃過ぎて、胸のざわめきがずっと続いてた。どんな物語も、この圧倒的な現実を知ったらただの作り物に思えちゃうよ。死の直前までフィギュアを愛でるのもリアルだし、自殺者や引きこもりを憎む感情もリアル。ワイルズくんの死との折り合いのつけ方を、ただただ見届けた。息子さんの死の瞬間までを記録したお母さまにも……。与えられた命を大切に使いたいと思い知らされました。2021/10/03
ほんどてん
7
闘病によって、自分ではどうにもならない現実を生きなければならなかった著者の言葉は、私がこれまで聞いてきた、どのような言葉よりも説得力がありました。自殺者に対する、悲しみを通り越して憎しみに近い心の叫びは、綺麗事ではない正直な本心を感じました。どんな理由があろうとも生きられる命と身体があるのだからと。私の心に刺さりました。「おわりに」でも書かれていますが、著者の17年間は間違いなく80年間に匹敵する人生だと強く共感しました。2021/11/03
Yn
6
人生の半分以上を白血病と闘っていた男の子のブログをメインとしたノンフィクションの本です。高校生とは思えないほどの色々なものに対する考えには驚きました。本を読んだあとは心が空っぽになりました。ありきたりな表現になりますが「人生とは何か」を考えさせられます。(この本はそれ以上です) 自分は何回もこの世から去りたいと思いましたが、ほっぺを強く叩かれた気分です。日本人1人残らず読んでもらいたい作品です。2021/07/30
yukiko
6
「『死』について、今の教育では理解できないまま、多くの子供が成人していってしまいます。『死』は特別なことでも、辛いことでも、苦しいことでもない、ということを、教えてほしいのです。」2021/06/09
ときどきぷろぐらま。
4
なんて勢いのある文章!ブログやSNSをまとめた書籍なので、普段から読み慣れてないと、ちょっとしんどいかもだけど、一気に読めちゃいました。 白血病と闘いながら、ここまでの、強くて優しい文章を書けるの、強すぎる。だって高校生でしょ。 ほんまに、神も仏もおらんのかと思う。2021/12/23