内容説明
もう二度と泣かないでも、きっともう笑えない―文芸社文庫NEO小説大賞受賞作。競泳選手として将来を有望視されていた夏子。高校生になったばかりの4月、ある日を境に彼女の生活は一変した。他人の視線に怯え、引きこもる日々。そんなある時、夏子は小学校の同級生・沙耶花と偶然再会する。おとなしくて影の薄かった以前とは違う生き生きとした沙耶花、その独特のペースに夏子は巻き込まれてしまう。実は沙耶花は…!?少女の心が解き放たれる、真夏の3日間の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
DONA
7
青春だね~というには重い内容でした。いじめとかいやがらせの域を超えて、犯罪だと思うな。自分で解決してしまおうとするのは大人から見れば馬鹿らしいですけど、子どもだったら思い詰めてしまうのは仕方ない気がします。ちゃんと助けてくれる大人がいて良かった。読み終えてホッとしました。2024/12/20
ほたる
7
あることから泳ぐことができなくなり、友人のことも信頼することができなくなった夏子。成長とともに訪れる自身の変化に心が追いついていかない。常に寂しげな雰囲気が漂って、希望がないように思えた。笑わないバタフライはもう一度飛ぶことができたのだろうか。2020/01/25
めぐ
6
主要人物達が其々に痛々しい青春の話。付き合う友達は選ばないと。終盤に所詮は類友だったのかなと、些か同情心も薄れてしまったが。あまり馴染みのないプロレス技の解説など興味深く、楽しんで読んだ。文芸社文庫NEO小説大賞だけあり、充分面白い。そして本筋とは関係ないが、「なんだ、マスクなんて付けて、風邪か?」の台詞と、部屋に入ると流石にマスクをしているわけにもいかず外した。という件が、あまりに何気ないシーンとして書かれていて、コロナ前の世界を思い出して切なさが溢れた。思う存分人混みでも深呼吸が出来た最後の冬の作品。2022/07/06
詩界 -うたか-
3
大丈夫。わたしにはこのバタフライナイフがあるから。そんな夏子の前に現れたのは、沙耶香だった——。◆うーん、なんだろう。ライト系を2日間読んできたけど1番よく分からなかった、かな。人にオススメはしないかも。2020/01/19
mh
2
緊迫した様子の少女・夏子が「あの三人」を殺すためにバタフライナイフを購入するシーンから始まる。どうなるんだ!?とドキドキしていると、ふわふわしたマイペースで吃音症の元同級生とドマッチョのカラフルオカマが登場して、主人公の夏子と一緒に、呆気に取られながらもあっという間に二人のペースに巻き込まれていってしまいました。読みやすくて、あっという間に読み終わった。キャラもみんな個性的でおもしろい。2020/11/27