感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
miyuki
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3月1日より。歌物語という、廃れたジャンルで挑戦する著者の作品における短歌は、いたって平明で趣向を中心とするが、このエスプリは平安和歌に等しいのでそれ故に擬古的な物語をみているようだ。散文部分の文体が文語体なので、それだけで読む人を選びそうだが、こういう文章が好きな人にとっては作中の歌の受けもよいだろう。作者自身、欧文明に対するアンチテーゼとしての思想があるとあとがきで断っているが、あまり力強くはなく、おもしろい話としてまとまってしまっている。内容、文体、思想、すべて含めて、真面目にユニークな本です。2016/03/02