内容説明
初刊のデザインの香りをつたえる新しい愛蔵版詩集シリーズ。人間として生きることの哀しさといとおしさ。
目次
ハミング
何を作った
工場
幻・方法
幻・その恩恵
音楽
大谷さん
名付けようのない季節
記録
万事大げさに〔ほか〕
著者等紹介
吉野弘[ヨシノヒロシ]
1926年1月16日、山形県飽海郡酒田町に生まれる。1938年、酒田市立商業学校に入学。1942年、戦時のため、商業学校を繰り上げ卒業。1943年、帝国石油に入社。1947年、帝国石油労働組合の専従役員。1962年、石油資源開発を退社し、コピーライターに転職。その後は文筆を専業とする。1972年、『感傷旅行』により読売文学賞を受賞。1979年、西武池袋コミュニティカレッジで詩の公開講座を担当。「静岡新聞」の「読者文芸」、「南日本新聞」の「詩壇」の選者を担当。1980年、NHK全国学校音楽コンクール高校課題曲として作詞した「走る海」が放送される。1986年、「小説新潮」の「サロン」詩選者を担当。1988年、「岩手日報」の「読者文芸」選者を担当。1990年、『自然渋滞』により、詩歌文学館賞を受賞。1992年、「ハイミセス」で詩の選者を担当。1996年、酒田市から酒田市特別功労賞を受賞。1998年、埼玉文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パキ
4
小学生のときにある詩を読み、それが誰の詩なのか、何という題名だか思い出せないまま長い年月を経て、吉野弘さんの「夕焼け」だと知った。詩というよりとっても小さな小説というのか、ズドンと心に来るのではないが確実にやって来るカンジ、すごい。昔宇宙飛行士が宇宙空間に浮かぶ地球を見て、詩人を連れてくるべきだと言ったという話を聞いたことがある。詩人は形容しがたいものを言葉にすることができるんだろう、と思う。2014/03/15
よしひろ
2
「I was born」や「奈々子に」「夕焼け」といった教科書にも載るような有名な詩も収録されている。それらの詩(あるいはここにはおさめられていない「祝婚歌」)のイメージが強かったため、本詩集の前半に収められている労働者についての詩やサラリーマンの悲哀を描く詩は意外なものであった。現在にも通じる抑圧と、そこからの自由を求める心。それを他者にまで広げていったのが「奈々子に」のような詩なのだろう。2013/07/20
あまがえる
2
詩集だが、短編小説を読んでいるようだった。国語の教科書に載っていた詩が二つ覚えていた。2011/08/01
優
1
三部以降、「初めての児に」や「I was born」などが好きなので、〈生死観〉が描かれるものが好きなのかも。一部にあるような〈労働〉をテーマにした詩は、合わなかった……。「さよなら」の〈君は有用な道具だった〉部分の表現、ネジを擬人化した「謀叛」とかも面白かった。〈自分を愛する心〉(「奈々子に」)は、とても大事だと思います。2015/10/31