出版社内容情報
『レコード芸術』誌において、2018 年1月号からスタートした同名タイトルの連載のムック化。2021 年8月号で第44 回を迎えている。内容は、いわゆる「クラシック音楽の歴史的録音」として語り継がれているレコード(ディスク)の中から1枚を選び、それが録音された当時、いかなる社会的背景や音楽シーンの中で誕生したのかを、様々な文献資料や関係者の証言を集め、ある種の「音楽ドキュメンタリー」として再構成したもの。筆者は『レコード芸術』で執筆中の音楽評論家、音楽ライターを中心に、海外有名レーベルの往年の名プロデューサー(翻訳による)、現役のピアニストなどの演奏家までが名を連ねる。録音現場での演奏家たちの葛藤や苦悩のリアルな姿の活写とともに、1枚の歴史的レコードが「誕生する瞬間」を目の当たりにするような読書体験が「聴きたい気持ち」を喚起する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hr
1
これを読んで「戦争レクイエム」を聴き直したくなった。ボールト、須川展也の項の充実ぶり。「フリッツ・ライナー最後のセッション録音」を読み終えて、Apple Musicで検索してすぐ見つけられて嬉しく、ハイドンの交響曲の染み込み方が変わった。ポリーニを持ち上げて、クライバーンを貶める増田良介と、作品の説明に終始する広瀬大介の文章は面白くない。2022/01/23
Go Extreme
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1977年になるまで存在しなかったメンゲルベルクのベートーヴェンの交響曲全集 波乱万丈の人生を送ったブルーノ・ワルターとデジ・ハルバンによるマーラーの交響曲第4番 強靭な精神力とヴァイタリティで収録されたシベリウスのヴァイオリン協奏曲 「ほとんど神に近い」と評された初演者トスカニーニの≪ボエーム≫ 世界一有名なオペラにならしめたカラスによる≪カルメン≫ 狂気のカルロス・クライバー 緊迫と決裂の≪トリスタンとイゾルデ≫ 空前のブームを巻き起こした 小澤征爾/ニューイヤー・コンサート20022022/01/15
Tatsuo Ohtaka
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『レコード芸術』誌で2018年に始まった人気連載のムック化。この連載は「あとがき」で第1回の原稿を執筆した増田良介氏が書いているとおり、「山際淳司『江夏の21球』のようなノンフィクションを、クラシック・レコードの名盤でやってみた」というコンセプトだ。 まとめて読んでみると、1枚のディスクを作るためにどれだけ多くの人が関わっているか、世に受け入れられるには、時代や社会情勢が大きく影響することがありありと伝わる。執筆者も愛聴するディスクについて書いているので、とても力が入っている。面白い!2021/11/18