内容説明
1917年、超大国ロシアで革命が起き、史上初の社会主義国ソ連が誕生。教会人や王侯貴族に代わって、党と国家が芸術文化を主導する。音楽家もユートピア国家にふさわしい新しい芸術をめざすが、希望にあふれた実験の時代はすぐ終わる。国家への奉仕や、社会主義リアリズムの芸術を求められるショスタコーヴィチたち。スターリン時代の粛清では、音楽人も犠牲となった。ロシアがキリスト教を受容した十世紀末から、音楽文化の流れをたどり、革命の衝撃を考える。
目次
第1部 革命まで(ロシア音楽史は聖堂から;音楽を育てた王侯貴族と富豪たち;西欧との絆)
第2部 革命が起きて―ソヴィエト音楽史の始まり(希望の時代―ユートピア社会の音楽をめざして;暗い時代の始まり;恐怖の時代―粛清と戦争のはざまで)
第3部 混乱から安定の時代へ(スターリンの死と、つかのまの「雪どけ」;安定の時代―革命の完成をめざして)
著者等紹介
伊藤恵子[イトウケイコ]
東京生まれ。東京大学大学院修了(比較文学・比較文化専攻課程)。旧ユーゴスラヴィア・セルビア科学芸術アカデミー、およびベオグラード音楽院留学。専攻は比較文化論、とくに独露文化交流史。ソ連時代からロシア正教会やビザンツ教会など東方正教会圏の芸術に興味をもち聖歌写本(ネウマ譜)を研究。ロシア正教会の聖歌、ロシア音楽に関する著作が多い
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