内容説明
来日アーティストのライヴはどうしてこれほどひどいのか?「わたし」は納得できなかった。レコードではみな安定したプレイをしていているのに、なぜ?それから四半世紀を経た’90年、ハリウッドのスタジオ・ドラマーで、生涯に四万曲以上の録音を残したハル・ブレインの回想記を読んだ「わたし」は、謎が解けたと思った。’60年代のハリウッドでは、アーティストはスタジオではプレイせず、かわりに一握りのスーパープレイヤーたちが影武者をつとめたのだった。だが、それはまだ迷宮のとば口にすぎなかった。「わたし」はインターネット上で同志と語らいながら、ハル・ブレインですらふれなかった真の謎の解明に乗りだした―。かつてだれも語ることのなかった、’60年代のポップ・ミュージック工場「ハリウッド」の隠蔽された実像にするどく肉薄する危険な「発見」の書。
目次
1 破壊の前夜―Eve of Destruction
2 どんな形だろうと―No Matter What Shape
3 星への旅路―Journey to the Stars
4 レッツ・ゴー!―Let’s Go(Pony)
5 裸足の冒険者たち―Barefoot Ventures
6 急がば廻れ’99―Walk Don’t Run’99
著者等紹介
鶴岡雄二[ツルオカユウジ]
1953年横須賀生まれ。翻訳家
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感想・レビュー
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梅干を食べながら散歩をするのが好き「寝物語」
14
面白かった。60年代の音楽の多くが影武者たるスタジオミュージシャンによる演奏だったと分析している。多くの分析に共感したが、ベンチャーズの分析のいくつかは間違っていると感じた。YouTubeが発達し多数の「別バージョン」が聞けるようになると、別の分析ができるようになったりする。例えは「ウオークドントラン」はボブの演奏ではないと指摘しているが、アジアでのライブ実況の録音をYouTubeで聞けば、手の癖がレコード一致していることがわかる。読者はじっくり音楽を聞き込んだ上で、情報の真偽を判断する必要がある。 2021/06/09