内容説明
フロイトとの出会い、妻アルマとの愛憎、そして世紀末ウィーン。その巨大な音楽宇宙はどのようにして構築されていったのか、寄る辺なきユダヤ人音楽家がなぜ音楽の都に君臨できたのか―。人間マーラーを描き切った渾身の評伝。
目次
生涯篇(フロイトとの出会い;ユダヤ人であること;イーグラウの少年時代;ウィーンの青春;遍歴時代のはじまり;プラハ、ライプイツィヒ、ブダペスト;ハンブルク時代;ウィーンへの凱旋;アルマ;新たな地平 ほか)
作品篇
資料篇
著者等紹介
村井翔[ムライショウ]
1955年、名古屋生まれ。慶応義塾大学大学院文学研究科ドイツ文学専攻修了。現在、早稲田大学文学部教授。専門はフロイト、ラカン精神分析学と20世紀オーストリア文学
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感想・レビュー
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のっち♬
107
来歴や逸話、関係者の回想や手紙の抜粋にフロイト研究者としての見解を交えたマーラー評伝。中でもアルマの証言は粉飾が多いので慎重な扱いを要するが、「新しい女性の代表選手」たる彼女の視点はマーラーの過度な突っ張りに通底する嫉妬や劣等感、幻想を炙り出す格好の材料だろう。ヴァルター宛の手紙は人生と作品の安易な結びつけは禁物であることの証左だ。より放縦な切り込みを見せる作品解説も充実。2番と8番の省略は残念だが、4番に込められたゾッとする皮肉は面白いし、クックの復元を全力擁護した10番の詳細な説明はかなり貴重なもの。2021/10/14
ジョンノレン
46
独文と精神分析の学者であり小学3年からの筋金入りのマーラーファンの著者によるたっぷり読み応えのある生涯と楽曲解説は枢要なマーラー関連書籍や多数の手紙や残された言質も駆使して簡潔かつ小気味良くかつての今を彷彿とさせてくれるありがたい本。同じ音楽之友社の作曲家別名曲ライブラリーとは大違い、あの本、門馬直美氏には悪いが殆ど意味ない。今回は若書きの「嘆きの歌」、交響曲3・7・9番と10番(クック版)を聴きながら浸り読み。著者の絶妙なバランス感覚でより客観的なマーラー像に肉薄できたかも。9番の1楽章はホントやばい。2025/11/13
たみと
1
映画TÀRに関係する前半部分と交響曲5番あたりのみ読了。面白い。2023/05/25
ニョンブーチョッパー
1
○2007/12/18




