出版社内容情報
『バイエル』の〈初版〉を日本初出版。さらに新発見の自筆譜の情報や初版発行部数や海外版発行年などの情報も紹介。
ピアノ楽譜の中で日本で最も有名なのは、間違いなく『バイエル ピアノ教則本』です。しかしこの楽譜のオリジナルの姿は、全く知られていません。初心者用ピアノ教本の中で最多の売上と影響力を誇り、出版各社から数多くの同工異曲版が発行されているにもかかわらず、実はそれらはオリジナルの姿と異なり、イラストや併用曲が加えられ、楽典が書き換えられ、肝心の楽譜も「初版」ではない資料にもとづいて作られて、スラーやアーティキュレーションが変更されています。本書は1850年に発行された『バイエル』の〈初版〉を日本で初めて明らかにするものです。それとともに取材過程で発見された自筆譜をはじめとする様々な情報──初版の発行部数や海外版の発行年、さらには自筆譜との差異を紹介し、日本のピアノ教育界が最も強く深く影響を受けてきた『バイエル』の本来の姿を探ります。『バイエル』は本国で刊行後ベストセラーとなり、すぐさま各国語に翻訳されて国際的に広まりました。こうしたグローバルな流れの中で日本にもたらされたのです。ですからオリジナルの姿を知ることは、私達の先祖がどのように西洋音楽を受け入れたかを考える重要な手がかりとなるはずです。
1.はじめに バイエルの人物像
2.バイエルQ&A
3.バイエル ピアノ教則本〈初版〉
4.バイエルの知られざる原典
どれが初版なの/自筆譜発見!
5.驚異のベストセラーだった『バイエル』
6.校訂
初版のテキストクリティーク/初版から読み解く『バイエル』の音楽/日本で使用されてきた『バイエル』の歴史
7.あとがき
【著者紹介】
監修:国立音楽大学声楽科卒、同大学院修士課程で音楽美学を専攻。山口芸術短期大学助教授、弘前大学教育学部教授を経て、2001年より奈良教育大学教育学部教授。著書『唱歌と十字架』『日韓唱歌の源流』『バイエルの謎』(以上、音楽之友社)他。
内容説明
これが『バイエル』の本当の姿だ!初版の『バイエルピアノ教則本』全ページを本邦初公開!自筆譜発見の経緯や初版と比較した一覧表等、詳細な解説付き。グローバルなベストセラーとして、日本の音楽文化に重要な影響を与えた楽譜の、知られざる実像。
目次
第1部 作曲家バイエルと『バイエルピアノ教則本』
第2部 『バイエルピアノ教則本』初版
第3部 『バイエル』の多彩な原典(どれが初版なのか?;自筆譜発見;『バイエル』は驚異のベストセラーだった;初版のテキストクリティーク;初版から読み解く『バイエル』の音楽;日本で使用されてきた『バイエル』の歴史)
著者等紹介
安田寛[ヤスダヒロシ]
1948年、山口県生まれ。1974年国立音楽大学大学院修士課程修了。2001年奈良教育大学教授。2013年定年退職し現在奈良教育大学名誉教授。2001年放送文化基金賞番組部門個別分野「音響効果賞」、2005年社団法人日本童謡協会日本童謡賞・特別賞
小野亮祐[オノリョウスケ]
1976年生まれ。広島大学大学院博士課程修了。レーラインの鍵盤楽器教本の研究で博士(学術)を取得。DAADドイツ学術交流会奨学生(2005/06年)として、ライプツィヒ大学博士課程音楽学専攻に留学。専門は音楽学、音楽教育史。くらしき作陽大学音楽学部並びに奈良教育大学教育学部非常勤講師を経て、2011年より北海道教育大学釧路校准教授。外国人客員研究員としてライプツィヒ大学音楽学研究所にて研究に従事(2016年2‐3月)
多田純一[タダジュンイチ]
大阪芸術大学大学院芸術研究科博士後期課程修了。博士号(芸術文化学)を取得。音楽学を芹澤尚子、前川陽郁の各氏に、ピアノを藤井美津子、安部ありか、前田則子の各氏に師事。アンジェイ・ヤシンスキ氏の公開レッスンを受講。ショパン作品および『バイエル』に関するエディション研究、日本におけるショパン受容、澤田柳吉の音楽活動等の研究において論文多数。講演やレクチャーコンサート、ピアノコンクールの審査を行っている。日本音楽学会、日本音楽表現学会、日本音楽教育学会、音楽教育史学会、日本ショパン協会関西支部各会員。大阪芸術大学大学院助手を経て、現在、大阪健康福祉短期大学非常勤講師
長尾智絵[ナガオチエ]
奈良教育大学教育学部、同大学院修士課程音楽教育専修修了。研究テーマは音楽を中心とした幼児教育。現在、日本女子大学大学院博士課程にて昭和20年代より「子供のバイエル」を編纂し、「おべんとう」など幼児のための歌を多く作曲した一宮道子についての研究を進める。帝塚山大学、神戸松陰女子学院大学、奈良保育学院、各非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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