出版社内容情報
チェロの聖典、バッハ《無伴奏チェロ組曲》。世界的チェロ奏者ジャン=ギアン・ケラスは最重要レパートリーとして長年にわたって演奏を重ね、2回の全曲録音を残している。東京、バルセロナ、南仏フォルカルキエ、モントリオール、ベルリン、ブエノスアイレス、パリ、アテネ――世界中を旅しながら、あるときは全6曲を番号順に、あるときは現代曲と組み合わせて、またあるときはダンス・カンパニーとともに再創造を試みる。この本では、組曲を構成する各舞曲の分析、フレージングのポイント、装飾音の付け方、ヴィブラートの有無、テンポの取り方、リピートは必要か、弦の選択など、ケラスが体得した《無伴奏》の真髄を音楽学者エマニュエル・レイベルとの対話を通して明らかにされる。チェロ演奏者、リスナーともに有用な情報が満載。さらにケラスと《無伴奏》とのパーソナル・ヒストリーもたっぷり盛り込まれる。ケラス・ファン必携の撮り下ろしカラー口絵付き。
【目次】
巻頭口絵
序文
[センツァ・バッソ(通奏低音なし)]
Ⅰ 日曜日のバッハ
東京
[全体][変則調弦][ピッコロ]
Ⅱ 限りなく小さく、限りなく大きい
バルセロナ
[プレリュード][アルマンド][クーラント]
Ⅲ 形成期
フォルカルキエ
[サラバンド][メヌエット、ブーレ、ガヴォット][ジーグ]
Ⅳ スチール弦かガット弦か
モントリオール
[和声][フレージング][装飾音]
Ⅴ アンテルコンタンポランでの学び
ベルリン
[言語][ニュアンス][静寂]
Ⅵ 全曲演奏への挑戦
ブエノスアイレス
[音響][ヴィブラート][和音]
Ⅶ 組曲を録音する
パリ
[テンポ][繰り返し][重力]
Ⅷ 組曲を拡散する
アテネ
謝辞
訳者あとがき