出版社内容情報
ドイツ・リートの伴奏者として著名な著者は、1990年の秋、シュトゥットガルトで、D・フィッシャー=ディースカウのマスタークラスを受講した。本書は、2週に渡り6日間実施されたそのマスタークラスの詳細な記録と、シューベルトとシューマンについて教わったプライベートな証言をまとめたもの。ディースカウの素顔を知る貴重な資料であり、「教師としてのフィッシャー=ディースカウ氏について、ひとりの生徒、マスタークラスのピアニストから見た彼との思い出」(著者談)を記した本書は、リートに対する新たな発見を約束してくれる。今年、生誕100年を迎える20世紀最高の歌手の芸術に、再び鮮やかなスポットライトが当たるだろう。
内容説明
フィッシャー=ディースカウの息遣いが、聴こえる。生誕100年を迎える20世紀最高の歌手の芸術。ピアニストの著者が間近で体験したヴォルフ、シューベルト、シューマンの極意を、いま鮮やかに解き明かす。
目次
1 プロローグ
2 出会い
3 初めてのレッスン
4 ヴォルフ〈生あるものはすべて滅びる〉―“ミケランジェロの詩による三つの歌曲”より
5 切なく熱い「ザ・恋する男」の歌
6 そしてふたたびシュトゥットガルト
7 コミカルバラード〈別れ〉
8 テュベフ氏の講演/シュワルツコップフ&フィッシャー=ディースカウ両氏の対談
9 コンサート前日のゲネプロ
10 そしてコンサート
11 シューベルト“冬の旅”
12 シューベルト“美しき水車小屋の娘”
13 シューベルト〈春に〉
14 シューベルト 即興曲Op.90‐3
15 シューマン〈毎朝起きると〉、〈僕は苛立ち〉―“ハイネの詩によるリーダークライス”Op.24より
16 シューマン〈森の語らい〉、〈間奏曲〉―“アイヒェンドルフの詩によるリーダークライス”Op.39より
17 シューマン〈僕の苦悩の美しい揺りかご〉―“ハイネの詩によるリーダークライス”Op.24より
18 修了コンサート、そして先生のコンサート
19 思い出あれこれ
20 エピローグ(そして…)
著者等紹介
子安ゆかり[コヤスユカリ]
東京都出身。武蔵野音楽大学卒業、ケルン音楽大学大学院修了(歌曲演奏法)。フィッシャー=ディースカウのマスタークラス伴奏者。「詩と音楽」の研究をケルン総合大学で始め、その後東京大学大学院修了。博士(学術)。国内外でコンサート活動を行うほか、各地で講演、講習会をひらき、「アンサンブルとしてのドイツ・リートの魅力」を伝えるべく活動中。ドイツ・リートのコンサートシリーズ“Die Taubenpost”(ディー・タウベンポスト)を2000年に立ち上げ主宰している。現在、武蔵野音楽大学准教授、お茶の水女子大学、早稲田大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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