内容説明
盗難・偽造・戦禍にまきこまれパガニーニ、イザイ、クライスラーに愛される。主人公は〈ネルソン提督〉のニックネームをもつストラディヴァリウスの名器。楽器の目を通して、一人称の文体で綴る、歴史物語。
目次
1 おいたち
2 知性派タルティーニとロマンチスト、ヴィオッティ
3 トラファルガル海戦
4 わたしの偽物
5 パガニーニとの出会い
6 英国での勝利
7 間奏曲〈ガイオーネ荘とベルリオーズ〉
8 シュポーアとエルンスト
9 カイロの誘拐
10 ナポリのヴィヨーム
11 新世界で
12 地震
13 屋根裏のストラディヴァリウス
14 本物か偽物か
15 偽物が売れた
16 ソロモンの判決
17 ヘロインを運ぶ
18 室内楽の楽しみ
19 素晴らしきフリッツ・クライスラー
20 ローマの出来事
21 赤いダイヤモンド
22 難破
23 オークション
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
227
著者のマロッコは17世紀イタリア音楽の研究者。本書はストラディヴァリウスを人格化することで、その一代記を語らせたもの。語り手は「ロード・ネルソン」のニックネームで呼ばれるストラディヴァリウスで、これまでにタルティーニ、ヴィオッティ、パガニーニ、イザーイらが奏でた名器中の名器の1つ。栄誉に囲まれた結末は悲しい。物語形式をとっているお蔭で、概説を読むよりもずっとストラディヴァリウスのこと、あるいは歴史上の名ヴァイオリニストたちのこと、さらにはヴァイオリンの奏法のことなどがよくわかる。読み物としても楽しい。2024/12/31
いこたす
1
“ロード・ネルソン”の一生 アントニオ・ストラディヴァリが作成したヴァイオリン“ラ・プルチェッラ(少女)”が幾多の主人の手に渡る間に経験した出来事をヴァイオリン目線で綴る小説。 ちなみに“ラ・プルチェッラ”は製作者がつけた愛称で、“ロード・ネルソン”はトラファルガル海戦で旗艦ヴィクトリー号に乗せられていたことからその戦いで戦死したネルソン提督の名にちなんだもの。 この本、訳者あとがきまで読んでがっかりしたのが史実とフィクションがごちゃ混ぜになっていること イザイの楽屋からヴァイオリンが盗まれ2010/12/29
セロ弾き
1
自分をストラディヴァリウスに見立てて、自分の誕生からヴィヴァルディやパガニーニ、イザイ、クライスラーの手に渡っていく運命を自伝的に語っていく面白い試み。ストラドにあらざねどヴァイオリンは演奏されてこそ運命をまっとうするのじゃないかと思う。2013/05/08
チタカアオイ
0
【図書館】2016/08/17
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