出版社内容情報
1866年にモスクワ音楽院が開校されて以降、「基礎理論(楽典)」「和声法」「管弦楽法(自由作曲)」の授業を受け持ち、12年間にわたって音楽理論の教授として教鞭をとったチャイコフスキー。原書はこの間、学生たちに授業するために著されたもので、ロシア最初の和声の教科書である。在職中の12年間は、交響曲、《白鳥の湖》等のバレエ、オペラ、幻想序曲《ロメオとジュリエット》等の管弦楽曲、『ピアノ協奏曲第1番』『ロココ風の主題による変奏曲』など、幅広いジャンルの作品を数多く作曲した時期とも重なっており、彼の作品の魅力を創り出している音楽技術の一部分を、この一冊から読み取ることができるだろう。
また、和声の習得を目指す教科書としての利用も効果的である一方で、チャイコフスキーや同年代の作曲家たちが和声の各要素についてどのように学び、考え、作曲し、そして後進の指導にあたっていたのかをうかがうことができる歴史的・資料的価値も含む貴重な一冊である。
内容説明
“白鳥の湖”“くるみ割り人形”“眠れる森の美女”を作曲した巨匠チャイコフスキーによる和声の教科書、本邦初の日本語訳誕生!
目次
第1部(協和音、三和音;不協和音:七の和音と九の和音;転調)
第2部 偶発的な和声の諸形式(第1編(訳注:題名が付されていない)
声部の旋律的展開)
著者等紹介
チャイコフスキー,ピョートル・イリイチ[チャイコフスキー,ピョートルイリイチ] [Чайковский,Пётр Ильич]
1840‐93。帝政ロシアの作曲家、教育者、指揮者。1866年にペテルブルク音楽院を一期生として卒業し、同年から1878年までモスクワ音楽院で教職に就く。その後作曲家として名を挙げた彼の音楽はロシアの聴衆に愛され、時の皇帝アレクサンドル3世からも称賛を得た。1891年のカーネギー・ホールこけら落とし公演に招待され、ブラームス、サン=サーンスとともに「存命の偉大な作曲家」として評価されたほか、ケンブリッジ大学の名誉博士号を授与されるなど、晩年のその名声はロシア国内に留まらなかった。交響曲第6番の初演から9日後の露暦1893年10月25日(西暦11月6日)、コレラにより急死
山本明尚[ヤマモトアキヒサ]
1991年、東京生まれの音楽学者。専門領域は19世紀後半~20世紀初頭のロシア芸術音楽。現在特に関心を寄せているのは、1910~20年代のロシア・ソ連のモダニズムの潮流と大衆への音楽教化運動、ロシアにおける音楽的トピックの運用。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業。在学中に安宅賞、卒業時にアカンサス音楽賞、同声会賞を受賞。同大学院音楽研究科修士課程修了、大学院アカンサス賞を受賞。また、2016年にはモスクワ音楽院ロシア音楽史学科研究実習を修了。現在、東京藝術大学大学院音楽研究科博士課程およびロシア国立芸術学研究所音楽史専攻に在籍
森垣桂一[モリガキケイイチ]
東京藝術大学作曲家卒業。池内友次郎、矢代秋雄、三善晃、尾高惇忠各氏に師事。1975年よりパリ国立高等音楽院で音楽理論を学ぶ。和声法をアンリ・シャラン、ジャン・クロード・レノー、対位法をジャン・クロード・アンリー各氏に師事。第42回日本音楽コンクール作曲部門第1位受賞。平成11年度文化庁芸術祭優秀賞受賞。1998年サンクトペテルブルク音楽院オペラ・シンフォニー指揮科卒業。国立音楽大学及び大学院教授、東京学芸大学特任教授、東京藝術大学、桐朋学園大学、東京音楽大学各講師を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。