出版社内容情報
現在の私たちは、音程・音階など西洋音楽に由来する音楽用語を当たり前のように使っているが、西洋音楽やその理論が日本に導入されてからまだ150年ほど。西洋の音楽理論は、近代日本でどのように導入され、展開、変化してきたのか。この問いについて、11人の著者が多様な領域から光をあてる。そこからは西洋の音楽理論に向きあい、自国の音楽について考察を深めようと奮闘した人々の姿が垣間見える。
西洋の音楽理論を非西洋圏の人々がどのように受容したかという一方向に注目するだけでなく、非西洋圏の音楽が西洋の人々にどのように受け取られてきたのか、また、それらの受容や交流の過程にどのような理論上・実践上の調整や文化的な摩擦がみられるのかにもせまる。
5つの章と6つのコラムはゆるやかに関連しているが、どこからでも読み始められる。
巻末には、本書に登場する音楽理論の基本用語と、索引付き。大学などのテキスト・参考書としても最適。
目次
第1章 西洋の音楽理論に向きあう―江戸後期からの100年(開国以前に行われた蘭学者・宇田川榕庵の西洋音楽研究;幕末以降に始まった西洋音楽の実践と音楽理論 ほか)
第2章 学校で和声学を教える―音楽取調掛・東京音楽学校を例に(明治前期から中期に音楽理論教育はどのように展開したのか;明治後期から昭和初期における教育状況 ほか)
第3章 日独で相互に受容する―フーゴー・リーマン周辺を例に(リーマンは日本の音楽にどのような和声をつけたのか;リーマンの和声理論は日本でどのように受容されたのか)
第4章 自国の音楽史を談じる―中国知識人の「中国音楽」観の変化(音楽の「進化」を叙述する王光祈『西洋音楽史綱要』;中国音楽をめぐる国内外の評価 ほか)
第5章 新しい調性理論を構築する―5度をめぐる思考(音律と音楽の基礎としての5度;箕作秋吉の五度和声理論 ほか)
著者等紹介
西田紘子[ニシダヒロコ]
九州大学大学院芸術工学研究院准教授。2009年、東京藝術大学大学院音楽研究科博士後期課程修了(音楽学専攻)。博士(音楽学)
仲辻真帆[ナカツジマホ]
東京藝術大学、静岡大学、立教大学、和洋女子大学非常勤講師。東京藝術大学大学院音楽研究科博士後期課程修了。博士(音楽学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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