内容説明
ニコンサロン「慰安婦」写真展中止事件から5年。写真家・安世鴻が世界的カメラメーカーのニコンを訴えていた裁判で、東京地方裁判所は二〇一五年一二月、勝訴判決を言い渡した。3年にわたる裁判で、ニコンが抗議を恐れて中止決定に至った経過や、ネット上の抗議行動が“表現の自由”に与えた影響などが明らかになった。「慰安婦」問題、表現の自由、企業の社会的責任、「炎上」と「自粛」、排外主義…日本社会が直面する課題について大きな教訓を示す事件と裁判。その全貌から、裁判闘争がもつ意義、事件の本質を考察する。誰が“表現の自由”を殺しているのか―。
目次
1 ドキュメント―ニコンサロン「慰安婦」写真展中止事件(事件発生から仮処分決定による開催まで;勝訴判決はどのようにして取得されたか ほか)
2 ニコン事件の本質とは何か(レイシズムと“反日”攻撃のなかで表現の場をつくりだすこと;写真/検閲/ナショナリズム ほか)
3 裁判を支えた人びとの記録(企業は人権のためにどう行動すべきなのか;私たちは、真実の堤防を築くことができるのか ほか)
4 裁判をたたかって(力をあわせれば守れる「表現の自由」;みちしるべ)
裁判資料編
著者等紹介
安世鴻[アンセホン]
写真家。ニコンサロン「慰安婦」写真展中止事件元原告。写真家。韓国をはじめ東ティモール、インドネシアや東アジアなどで約20年、日本軍性奴隷被害女性たちを取材。被害者の正義と平和のための写真展と被害者支援をする重重プロジェクトを進行中
李春煕[リチュニ]
弁護士。ニコンサロン「慰安婦」写真展中止事件弁護団
岡本有佳[オカモトユカ]
編集者。風工房主宰。Fight for Justice「慰安婦」問題専門サイト運営委員。表現の不自由展共同代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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