出版社内容情報
世間と協調することも時代と歩調を合わせることも生来苦手だった、いや、自分自身とうまく折り合ってゆくことさえ不得手だった一人の不器用な人物、熱狂と冷却の振幅の過度に激しかった一人の人物が書き残した世界探索の足跡のすべて。
酒田健一[サカタケンイチ]
1934年生まれ。早稲田大学名誉教授。
内容説明
ヘーゲルに始まりカール・シュミットにおいて絶頂を極める「シュレーゲル・バッシング」をその基層とする延々たる毀誉褒貶の歴史の谷間を、「善にして同時に偉大なるものはすべてパラドックスである」を生前、死後の旗印として渡り歩いて今に到った一思想家の「迷路歴程」。
目次
第1部 本論(回顧と総括、生と生成の論理学・環境のエンツィクロペディー;予見的批評、あるいは「絶対的解釈学」の構造;イロニーの風景(一)ロマーン理論のディテュランボス的基層
イロニーの風景(2)「鉄のやすり」、あるいは「レッシング論」という武器
イロニーの風景(三)ヘーゲルの鉄槌、怒れる「絶対精神」の闇
秘儀としての観念論、あるいは「超越的曲線」
法衣のデミウルゴス―ある世界生成論の曲折と挫折
インドとヘブライとの狭間で―幻想の言語起源論と言語ピラミッド論
シュレーゲル・コントラ・シュレーゲル、あるいはせめぎ合う両神話論)
第2部 補論(ゲオルク・ジンメルの「生の哲学」との類縁性;フリードリヒ・シュレーゲルの「エンツィクロペディー」概念をめぐる二篇の論考―ハンス‐ヨアヒム・ハイナー『フリードリヒ・シュレーゲルの全体性思考』と、エルンスト・ベーラー『フリードリヒ・シュレーゲルの文芸学のエンツィクロペディーとヘーゲルの哲学的諸学のエンツィクロペディーとの対比』;楕円の思想、スピノザとフィヒテの綜合、あるいはフィヒテの中のスピノザ;ヘルダーの遺産、見送る者と引き継ぐ者;ディテュランボス、憑依と狂気、ニーチェとの交差;「ヘーゲルの鉄槌」をめぐる応酬―エルンスト・ベーラーとカール・ハインツ・ボーラーの反論、ヘーゲルからのあり得べき再反論、フリードリヒ・シュレーゲルの永遠の屈託;シェリングとの競合、「無底」の深淵を挟んで)
著者等紹介
酒田健一[サカタケンイチ]
1934年生、1965年早稲田大学大学院文学研究科ドイツ文学専攻博士課程修了、早稲田大学文学部教授を経て、早稲田大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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