内容説明
「市民社会」が多様なスペクトルで、したがって錯綜する市民社会概念によって論じられる今日、本書は日本とドイツにおける市民社会論を概観し、市民社会とは、「労働に基づく所有」を体現した諸個人の生産・交換(=分業)関係として、またその社会的審級においては近代に固有な「自由な諸個人のアソシエーション」として定置する。そしてこの関係概念としての市民社会の歴史具体的展開を、ドイツにおける1848/49年革命を担うに至る「協会」組織(Vereinwesen)の中に見ることによって、市民社会概念をより明確化しつつ、現在と将来に市民社会論がいかなる「意味」・「価値」を持ちうるのか、本書はその可能性を問う試みである。
目次
第1章 日本における市民社会論―一九七〇年代を中心に(平田市民社会論における歴史認識;望月市民社会論の胚胎過程 ほか)
第2章 ドイツにおける市民社会論の現在(日本における市民社会論の系譜;ドイツにおける市民社会論の現状 ほか)
第3章 揺籃期のドイツ自由主義・民主主義と協会運動(自由主義の変遷;市民社会としての協会 ほか)
第4章 ザクセンにおける一八四八/四九年革命と協会運動―一八四九年五月蜂起を中心に(三月前期のザクセン;一八四八/四九年革命の中のザクセン ほか)
第5章 一八四八/四九年革命と現代ドイツ(「自由への出発」としての一八四八/四九年革命?;「未完のプロジェクト」としての一八四八/四九年革命 ほか)
著者等紹介
村上俊介[ムラカミシュンスケ]
1950年愛媛県生まれ。1973年山口大学経済学部卒業。1981年専修大学大学院経済学研究科単位取得満期退学。現在、専修大学北海道短期大学助教授を経て、専修大学経済学部教授。専攻は社会思想史
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