内容説明
人間性の回復と労働時間の理念。1960年代から80年代までの時短経過と構造を分析し、労働時間の理念的・理論的位置づけを展開することによって今日的課題を提起する。
目次
前編 労働時間戦後日本史(交代制勤務者の労働と生活と意見―1960年代三交替制職場の疲労調査の事例;70年代と時短問題;80年代の労働時間問題)
後編 時短の理論と構造(労働時間と生活時間・余暇の学説小史;「余暇」をどうとらえるか;労働時間短縮と雇用問題;人間性回復と労働時間短縮;時短と生活問題―人間らしく生きる;生活時間の構造)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆう。
28
人間にとって労働は人類史と共に長い歴史があります。しかし、労働それ自体が社会問題となるのは、資本主義社会になってからかもしれません。それは、生産力を持つ資本に自らの労働力を売ることでしか生活できない労働者は、他人の所有する生産物をつくるための労働過程と自己の自由な行為としての消費過程にわかれ、疎外された労働が生み出されるからです。そのため、労働時間の短縮は労働者階級にとって自由と文化的生活の拡大につながります。本著は時短を求めることの論理と構造が考察されています。とても勉強になりました。2017/11/29